「名前を呼んでも振り向かない…」——心配になる前に知っておきたいこと

こんにちは。
今日は、多くの保護者が一度は感じたことのある不安、
「うちの子、名前を呼んでも反応しないんです…」
というテーマを取り上げます。
- 後ろから「○○ちゃん!」と呼んでも振り向かない
- おうちで話しかけても、目を合わせてくれない
- まるで“聞こえてない”みたいに感じることがある
こんな場面に出会うと、「もしかして耳が聞こえてないのかな?」「発達に何かあるのかも…」と心配になる方も少なくありません。
でも実は、「名前を呼んでも反応しない」行動には、さまざまな理由や発達段階が関係していることがあります。
第1章 「名前に反応する力」は、発達の中で育っていく
私たち大人にとって、“名前を呼ばれたら振り向く”ことはごく自然な反応に思えますよね。
でも、乳幼児にとってこの行動は、いくつかの発達的な力が組み合わさってはじめてできることなのです。
● 名前に反応するには、こんな力が必要です
- 聴覚の働き(音をキャッチする力)
- 注意を切り替える力(見ているものから視線を外す)
- 相手との関係に気づく力(自分が呼ばれていると理解する)
- 行動に移す力(振り向く・目を向ける)
これらの要素は、それぞれが年齢や発達によってばらつきがあります。
つまり、「振り向かない=異常」ではなく、「今はその力がまだ育っている途中」なのかもしれません。
第2章 どんなときに注意が必要?
では、「振り向かない」という行動が見られるとき、どんな場合に注意が必要なのでしょうか。以下に“チェックポイント”を整理してみました。
✅ 繰り返し何度呼んでも反応がない
✅ 他の音や声にもあまり反応しない(生活音・ドアの音など)
✅ 名前だけでなく、指差しや視線の共有も乏しい
✅ 周囲に関心が薄く、自分の世界に没頭している
✅ 1歳6ヶ月を過ぎても目が合いにくく、呼びかけに応じない
これらが複数当てはまる場合は、一度小児科や発達相談機関で相談してみると安心です。
特に、「耳が聞こえていない可能性(聴覚障害)」や、「注意の切り替えが困難(発達特性)」などが背景にあるケースでは、早期の気づきと対応がとても重要です。
第3章 “自閉スペクトラム症(ASD)”との関係は?
名前を呼んでも反応しないという行動は、発達障害のひとつである**自閉スペクトラム症(ASD)**の早期サインとして知られています。
ASDの子どもは、周囲の人との関係づくりや「やりとり」に難しさを持つことがあります。そのため、「人に呼ばれること」への関心が薄かったり、自分の関心事に没頭していて“気づいていない”こともあるのです。
ただし——
ASD=名前を呼んでも反応しない子ども、ではありません。
“その傾向がある”というだけで、実際には非常に多様な子どもたちがいます。
ですから、「反応がない=発達障害だ」と決めつけるのではなく、“関わり方の工夫”で変化が見られるかを見ていくことが大切です。
第4章 家庭でできる関わりの工夫5つ
(1)子どもの視線に合わせて呼びかける
大人の立ち位置が遠かったり、高い位置から声をかけても、音として届きづらいことがあります。
目線を合わせて、優しくゆっくりと「○○ちゃん」と声をかけてみましょう。
(2)名前のあとに“楽しいやりとり”をセットにする
「名前を呼ばれる=楽しいことがある」と子どもが感じるように、
✅ 「○○ちゃん、おいで〜!だっこだよ」
✅ 「○○くん、ほらアンパンマン見つけたよ!」
といったように、**“名前→ポジティブな出来事”**の経験を積み重ねましょう。
(3)反応しやすいタイミングを選ぶ
集中して遊んでいる時や、好きな遊びに夢中になっているときは、注意を切り替えるのが難しいです。
静かで、落ち着いているタイミングを選んで声をかけてみると、反応しやすくなります。
(4)音やジェスチャーも活用する
声かけだけではなく、手を振ったり、そっと肩に触れたりすることで、複数の感覚刺激を組み合わせることも効果的です。
(5)“振り向いたら笑顔でほめる”を繰り返す
「今、反応できたね」「○○ちゃん、すごいね!」と笑顔で言葉をかけましょう。
その経験の積み重ねが、“呼ばれること”への興味を育てていきます。
第5章 親の不安に寄り添う支援が大切です
「もしかして発達障害なのかな?」
「周りの子はちゃんと反応するのに…」
そんな気持ちが頭をよぎるとき、保護者の心には大きなプレッシャーがのしかかります。
でも、子どもにはそれぞれの“発達のテンポ”があり、家庭の関わりによってゆっくりと変化していくことも少なくありません。
不安なときは、ひとりで抱え込まず、かかりつけ医や地域の発達支援機関に相談することで、安心して子どもと向き合えるようになります。
最後に:振り向く=関係が育っている証
名前に反応するという行動は、「この人は自分に関係のある存在」と認識している証でもあります。
つまり、子どもと大人の“つながり”の中で育つ力なのです。
親子の関係性が深まるにつれて、少しずつ「名前を呼ばれる→振り向く→やりとりする」力は育っていきます。
焦らず、子どもとの“見つめ合う時間”を大切にしていきましょう。