「同じことばかり言うんです…」——繰り返し発話を理解し、関わるためのヒント

こんにちは。
「今日さ、今日さ、って何度も同じ話をする」
「“◯◯してもいい?”と聞かれて“いいよ”と言っても、またすぐに同じことを聞かれる」
「最近は“なんで?”ばっかりで、止まらない…」
こんな“繰り返し発話”に困った経験はありませんか?
大人の感覚では「さっき言ったのに」「何回同じこと聞くの?」と感じてしまいますが、子どもにとっては大切な意味をもつ行動であることが多いのです。
今回は、「繰り返し発話」にどんな理由があるのか、そして保護者としてどう受け止め、どう関わればよいかを解説します。
第1章 “繰り返し発話”ってどういうもの?
繰り返し発話にはいくつかのタイプがあります。
✅ よく見られるタイプ
- エコラリア(反響言語)
聞いた言葉をそのまま返す。たとえば「ごはんにしようか?」→「ごはんにしようか!」 - 特定の言葉や話題を何度も繰り返す
同じフレーズや出来事を繰り返し話す(例:「今日ブロックで遊んだんだよ」×5回) - 同じ質問を繰り返す
「今日どこ行く?」「何時に迎えに来る?」「おやつ何?」など、答えてもまたすぐに聞く
第2章 それ、意味のある“言葉”かもしれません
一見「意味のないおしゃべり」「くどいだけ」に思える繰り返し発話。
でも実は、子どもにとってこんな目的や理由がある場合が多いのです。
● 安心したい
→ “同じ返答”が返ってくることで、未来への見通しや安心を得ている
● 楽しかったことを繰り返して味わいたい
→ 記憶の中で印象に残った場面を、自分の言葉で“再体験”している
● 自分の世界観を再確認している
→ 発達特性のある子どもでは、“自分の中のルールや記憶”を大切にしている場合も
● コミュニケーションの練習をしている
→ あいづちや質問のやりとりを“型として覚えていく”練習段階かもしれません
第3章 よくある“保護者の悩み”とその対応
Q1:「毎日同じ話題ばかりでイライラします…」
→ まずは「今、子どもにとってその話題が“意味のある安心”」になっていることを理解することが第一歩。
「そんなに楽しかったんだね」と受け止めつつ、「次は?」と話題を少しずつ広げてみましょう。
Q2:「“何時に来るの?”を10回聞いてきます」
→ これは“不安を埋めたい”行動であることが多いです。
具体的な時計のイラスト、スケジュールカードなど視覚的な情報をセットで使うことで安心感を高めることができます。
Q3:「会話になってない感じがして心配です」
→ “会話=意味あるやりとり”と大人は思いがちですが、子どもにとっては「聞いたまま話す」段階も大事な成長過程です。
無理に修正しようとせず、**少しずつ“言葉を育てている途中”**として見守ることが大切です。
第4章 “やめさせる”のではなく、“育てる”関わりへ
繰り返し発話に困ると、つい「もう何回も聞いたよ!」「同じことばっかり言わないの!」と止めたくなります。
でも、それでは“本人が安心を得るための方法”を奪ってしまうことになりかねません。
ここで大切なのは、**「その行動に代わる安心の方法」**を育てていくこと。
✅ 具体的な方法
- タイムスケジュールを作っておく
→ 予定が目に見えていれば、不安からの質問が減る - “〇回まで聞けるカード”をつくる
→ 何度聞いてもOK、でも回数に限りがあることで切り替えやすくなる - 言葉の内容を少しずつ変えて返す
→「今日ブロックで遊んだの?」→「ブロックで何を作ったのかな?」と展開する
第5章 繰り返す“その子らしさ”を強みに変える
繰り返し発話は、“こだわり”と見えることもありますが、
- 覚えたことを定着させる力
- 言葉を自分のものにするための反復力
- 興味関心を強く持ち続ける集中力
という面から見ると、すばらしい強みでもあります。
繰り返すことで“ことばの型”を自分に取り込んでいく——これは、発達途上の子どもにとってとても自然なプロセスなのです。
第6章 必要なら支援機関での相談も視野に
もし、
- 繰り返しが日常生活に支障をきたしている
- 会話の広がりがまったくない
- 不安や興奮に左右されすぎる
といった場合には、児童発達支援センターや専門機関での相談をおすすめします。
言語聴覚士(ST)や臨床心理士による関わりで、ことばの発達や不安調整への支援が受けられます。
最後に:「“また言ってる…”の奥にある、子どもの思いに気づこう」
繰り返し発話は、親にとっては困る行動に見えるかもしれません。
でも、それは“ことばを育てているサイン”であり、“心の安定を求める手段”でもあります。
- 「何度も話すのは、それだけ大切だったんだね」
- 「同じこと言ってるけど、今日はちょっと言い方が違うね」
- 「安心したくて聞いてるんだね」
そんなふうに受け止められると、子どもとのやりとりが少しラクになります。
そして、“同じことを言う”がやがて“違うことも話せる”につながっていく道筋を、一緒に歩いていけますように。