「靴が履けない」「着替えが苦手」——身支度がうまくいかない子の理由と支援のコツ

こんにちは。
朝の登園前やお出かけ前、こんな場面に直面していませんか?
- 「靴がうまく履けなくて、怒って放り投げる…」
- 「靴下がひっくり返るだけでパニックになる」
- 「毎朝、“ママがやって!”と泣き叫ぶ」
身支度の場面は、大人にとってもバタバタと忙しい時間。
でも子どもにとっては、自分の身体と向き合い、手順を考えて動かすという、とても難しい課題でもあるのです。
今回は、「身支度が苦手な子」の理由と、それに応じた家庭でのサポート方法について、発達支援の専門的な視点からわかりやすくお伝えします。
第1章 「できない」の裏にある、発達の課題
身支度、特に「靴を履く・脱ぐ」「靴下をはく」「ボタンを留める」などの動作は、
一見シンプルに見えて、実は多くの発達的な力を必要とします。
✅ 身支度に必要なスキルは?
- 微細運動(指先を使った細かい動き)
- 空間認知(左右・上下・前後の把握)
- 順序立てて行動する力(実行機能)
- 集中力・持続力
- 身体の感覚を感じ取る力(固有受容感覚)
これらのどれかが未発達だったり、苦手さがあると、身支度が「とても大変なこと」に感じられてしまいます。
第2章 なぜ“靴を履く”のが難しいの?
(1)左右の判断が難しい
→ 靴の「右・左」がまだ理解できない/混乱してしまう
(2)動作の順序がうまくつかめない
→ まず靴下→靴→マジックテープ、という手順が曖昧で途中で混乱
(3)指先の力加減や手の操作が難しい
→ 靴のかかとを押し込む/マジックテープを引っ張る/足を中に入れる、など複数の操作が必要
(4)感覚の過敏さ・鈍さ
→ 靴下の縫い目が気になる/足に触れる感覚に過敏/逆に感覚が鈍くて“履けた感じがしない”
第3章 家庭でできる支援の7つのポイント
(1)「見通し」を与える
「靴を履く」という行動も、手順が見えないと不安や拒否につながります。
✅ 対応例:
- イラストで「靴下→靴→立ち上がる」などの流れを可視化
- ぬいぐるみを使って履かせる→自分でもやってみる
(2)“できない”を責めず、分解する
「ほら、自分でやって!」と一括で言われても、どこから手をつけてよいかわからない子もいます。
✅ 支援例:
- 「ママは靴を持っておくね。じゃあ足を入れてみよう」
- 「片足だけ履けたね、すごい!」と一部の成功をしっかり認める
(3)道具の工夫も大切
- 大きめの履き口の靴
- 縮まないゴムの靴紐タイプ
- 靴下の前後がわかるマーク入りのもの
道具のちょっとした工夫で「できた!」が増えます。
(4)遊びの中で練習する
練習=つらい、にならないように、“遊び”の中で取り入れてみましょう。
✅ 例:
- 靴屋さんごっこ
- くつ並べゲーム(右・左を合わせて並べる)
- マジックテープはがし競争
→ 身支度動作を「遊びに変換」することで、練習のハードルが下がります。
(5)左右の認知には視覚支援が有効
「右左のマーク(色違い・絵合わせ)」を使うことで混乱を防ぎます。
- 靴底にキャラクターの半分ずつの絵
- 右は赤、左は青などの色分け
- 「くつはトントンくっつけると正解!」という遊びに
(6)焦らず“できた”をためる
すぐに全部できるように…と思わず、“できた瞬間”を積み上げましょう。
✅ 声かけ例:
- 「きょうは自分で靴下を持てたね」
- 「足を入れられたのはすごい!」
- 「あとちょっとでマジックテープまでいけそうだね」
(7)“やってもらう”ことも必要な支援
身支度が大きなストレスになっている子には、「自分でやらせなきゃ」と思いすぎないことも大切です。
- 必要なときは手を貸す
- タイミングを見て「今日はママと一緒にやろうか」
- 園の先生と相談して“できること”と“見守ること”を整理
→ 「やってもらって安心する」ことが“やってみよう”につながるケースも多いです。
第4章 それでも困ったら専門相談を
以下のような状況が続くときは、発達支援の専門機関に相談することをおすすめします。
- 年齢相応にできるはずの身支度が極端に難しい
- 怒り・混乱・拒否が毎日のように強く出る
- 手先の動きや身体の感覚に著しいぎこちなさがある
児童発達支援施設や療育センターでは、専門家による評価・支援が受けられます。
必要に応じて視覚支援、感覚調整、道具選びのアドバイスも受けられます。
最後に:「自分でできた」が育つタイミングは人それぞれ
身支度は、“自立”の第一歩。
だからこそ、できないと焦ってしまったり、「もう〇歳なのに…」と比べたくなったりしますよね。
でも、子どもたちはそれぞれ違うスピードで、「自分でやりたい」「できるようになりたい」という気持ちを育てていきます。
- 一部だけでも「自分でできた!」を大切に
- “やってもらう安心”が、やがて“自分でやってみる勇気”に
- 大人のちょっとしたサポートが、子どもの“できた”につながる
毎日のバタバタの中でも、少し立ち止まって「どこで困ってるのかな?」と考える時間を持てるといいですね。
身支度の中にも、たくさんの「育ちのヒント」が隠れています。