「ごっこ遊びができないのは大丈夫?」——想像力・社会性の発達段階を理解しよう

こんにちは。
子育てをしていると、ままごとやヒーローごっこなど、「ごっこ遊び」に関する場面をたくさん目にするようになります。
でも、ある日こんなふうに感じることはありませんか?
- 「他の子がままごとで盛り上がってるのに、うちの子は入っていけない…」
- 「役になりきって遊ぶことができない」
- 「想像の世界の遊びに全く興味を示さない」
「もしかして発達が遅れてるのかな…?」「社会性に問題がある?」と心配になる保護者の方も少なくありません。
でも実は、「ごっこ遊び」は“できる・できない”で単純に判断するものではなく、発達の段階に応じて少しずつ育っていくスキルの集まりです。
今回は、「ごっこ遊びが苦手な子ども」に見られる特徴や、その背景、そして家庭でできる支援について、やさしく専門的に解説します。
第1章 「ごっこ遊び」って、どういう遊び?
ごっこ遊びとは、「本物ではないことを理解した上で、何かになりきったり、想像の状況を作ったりして遊ぶこと」です。
例:
- 「ママになって赤ちゃんのお世話をする」
- 「お医者さんと患者さんになりきる」
- 「スーパーヒーローになって敵を倒す」
この遊びは、子どもにとってただの遊びではありません。心や思考、社会性を育てる大切な発達の場面です。
第2章 なぜごっこ遊びが大切なの?
✅ ごっこ遊びが育てる力
- 想像力・創造性:「目の前にないことを思い描く力」
- 他者視点の理解:「相手の立場になる経験」
- 感情の調整力:「気持ちを切り替えたり、コントロールしたりする力」
- 言語表現力:「セリフを使いながら表現する練習」
- ルールの理解と共有:「社会のルールを遊びながら学ぶ」
つまり、ごっこ遊びは「子どもが“社会”を小さく再現して体験する活動」なのです。
第3章 「ごっこ遊びが苦手」な子の特徴と背景
(1)想像の世界と現実の区別が難しい
→ 抽象的な場面をイメージすることが苦手で、現実とフィクションの境目が曖昧になる。
(2)他人の立場に立って考えるのが難しい
→ ASD傾向のある子どもでは、「自分とは別の存在になりきる」ことが理解しづらい場合があります。
(3)言葉でのやりとりが苦手
→ セリフを考えてやり取りする遊びでは、語彙力や対話力が求められるため、言葉の発達に遅れがあると難しさを感じます。
(4)ストーリーの展開が思いつかない
→ 「次に何が起きるか」「どう展開するか」を考えることが難しいと、途中で飽きたり混乱することがあります。
第4章 家庭でできる「ごっこ遊び」支援のヒント
(1)まずは「模倣(まねっこ)」から始めよう
いきなり「○○ごっこをしよう!」と言っても、ハードルが高い子にはまず**「やって見せる」ことからスタート**しましょう。
✅ 例:
- お人形を持って、「おはよう」「ごはんどうぞ」など簡単なやりとりを見せる
- 保護者が先生役になって、子どもが真似する遊びをしてみる
- 「ぬいぐるみのお医者さん」など実生活に近いテーマから始める
(2)“身近な体験”をテーマにすると取り組みやすい
「病院ごっこ」「スーパーごっこ」「バスごっこ」など、日常で体験したことを遊びに取り入れると、想像しやすくなります。
(3)道具や小物で想像をサポート
- 空のペットボトルをジュースに
- ダンボールをお店に
- おしぼりを赤ちゃんに見立ててお世話
→ 視覚的な手がかりがあると、イメージが広がりやすくなります。
(4)役割分担は「好きな役」からでOK
いろんな役割をこなすのが難しい子は、まず**「本人がなりたい役」だけでもOK**。
苦手な役は大人が担うことで、遊びの世界が保たれます。
(5)無理に“会話のやり取り”を求めなくていい
ごっこ遊びだからといって、必ずしもスムーズな会話を求める必要はありません。
- 動作だけのやりとり
- セリフは大人が代弁する
- 声に出さずにイメージだけ共有する
→ 子どもが安心して参加できる形で“世界観に入れること”が大切です。
第5章 支援が必要なケースとは?
以下のような様子が継続して見られる場合は、専門的な視点からの支援が役立ちます。
- 他の子と遊ぶことを極端に嫌がる・避ける
- ごっこ遊びだけでなく、見立て遊び自体に全く関心がない
- 相手とのやりとりを成立させるのが極端に困難
- ASDや発達性言語障害、知的発達の遅れが疑われる場合
→ 児童発達支援や療育センターなどで、個別性に合った関わり方を学びながら支援することが可能です。
最後に:「ごっこ遊び」は、“社会性の種まき”
ごっこ遊びは、子どもが自分以外の誰かの立場に立ったり、想像の世界で自由に表現したりする練習の場です。
でもその力は、すべての子が同じ時期に、同じように育つわけではありません。
- 「遊び方が違う」ことを責めず、
- 「一緒に楽しむ」ことから始めて、
- 「できた!」「わかった!」を積み重ねることで、少しずつ世界が広がっていきます。
大人が“正しい遊び方”にとらわれず、子どもなりの表現や関わりを受け止めることで、想像力と社会性の芽が、ゆっくりと伸びていきます。
焦らず、比べず、
その子だけの“ごっこ遊び”の物語を応援していきましょう。