「“集中力が続かない…”は本当に“集中できてない”のか?」

こんにちは。
日々の子育ての中で、こんなふうに感じたことはありませんか?
- 「うちの子、落ち着きがない」
- 「すぐ気がそれてしまう…」
- 「何をしても長続きしない」
特に、絵本や工作など座って行う活動で、すぐに立ち歩いたり、別のことに興味が移ってしまう様子を見ると、「集中力がないのでは?」と不安になる保護者の方も多いと思います。
でも実は、“集中できないように見える子”の中には、「集中できないのではなく、“集中の形”が違う」という場合も少なくありません。
今回は、「集中力が続かない」と感じる子どもたちに見られる発達特性や背景、そして家庭でできる支援のヒントを紹介します。
第1章 “集中力がない”とはどういうこと?
まず、集中力とは何でしょうか?
専門的には、「注意力(Attention)」と呼ばれ、以下のような種類があります。
✅ 注意力の種類
- 持続的注意:ある対象に意識を向け続ける力
- 選択的注意:必要な情報を選んで集中する力
- 分割的注意:同時に複数のことに注意を向ける力
- 注意の切り替え:別のことにスムーズに意識を移す力
たとえば、大人でも
- 会議中に雑音が気になって集中できない
- 苦手な書類作成に取りかかるのが難しい
- 同時に料理と子どもの相手をするとミスする
という経験があると思います。
これらも、すべて“注意”の特性に関係しているのです。
子どもは、この注意力がまだ発達途上にあり、活動の内容や環境、本人の興味・特性によって大きく左右されるのが特徴です。
第2章 本当に“集中できてない”?見極めのポイント
(1)実は“好きなこと”には集中している
「おもちゃ遊び」「動画視聴」「工作」など、興味のある活動では長時間集中していることはありませんか?
✅ これは、「集中できる力がある」というサイン。
→「やらされている活動」ではなく、「自分から関われる活動」で力を発揮する傾向があります。
(2)“座って取り組む”ことが苦手なだけかも
体を動かすのが好きで、静かに座って過ごすことが苦手な子もいます。これは**身体感覚の強さ(前庭感覚・固有感覚)**が影響している可能性もあります。
→ 机上活動では集中できないけれど、公園で長時間虫を探したり、好きな遊びを繰り返し続けたりするなら、“集中のかたち”が違うだけです。
(3)“環境の刺激”に影響されやすいタイプかも
注意があちこちに向きやすい子は、視覚や聴覚からの刺激に過敏または過敏気味であることがあります。
✅ 例:
- テレビの音が気になって手が止まる
- 他の子が動くと気がそれてしまう
- 窓の外の車の音に反応する
→ 環境要因に左右されやすい場合は、集中力の問題ではなく、刺激処理の違いである可能性があります。
第3章 家庭でできる集中力サポートの工夫
(1)活動の“見通し”を持たせる
→ どれくらいの時間かかるか、何をしたら終わるのかが分からないと、集中しにくくなります。
✅ 工夫例:
- 「タイマーを5分セットしてみよう」
- 「このパズルを2枚やったら終わり」
- 「1回やったらシールを貼ろう」
→ 終わりが見えることで、子どもの集中の“持ち時間”を上手に使えます。
(2)“座りやすい環境”を整える
→ 足が床に届かない、机が高すぎる、などの環境不備が集中を妨げていることもあります。
✅ 確認ポイント:
- 足がしっかり床や踏み台についているか
- 背中が安定しているか
- 気が散る物(テレビ・おもちゃ)が視界に入っていないか
→ “体が安定すると、心も安定する”のです。
(3)体を動かしてから集中する
→ 活動前に、体をしっかり動かす「感覚遊び」を取り入れると、その後の落ち着きに差が出ることがあります。
✅ 例:
- トランポリンで10回ジャンプ
- ぐるぐる回って感覚を満たす
- 雑巾がけやタオル引っ張りなどの“重い動き”
→ 感覚が満たされることで、「静」の活動への切り替えがしやすくなります。
(4)“できた”を増やすステップ構成
→ いきなり10分やらせようとするのではなく、まずは**1分でも集中できたらOK!**という気持ちで始めましょう。
✅ 小さな成功例:
- 1分間だけ絵本を見た
- 1個だけシールを貼った
- 2ピースだけパズルを完成させた
→ 成功体験の積み重ねが、「またやってみよう」の意欲につながります。
(5)活動の“内容”よりも“気持ちの共有”を意識する
→ 子どもが少しでも取り組めたときは、「よく見てたね」「楽しそうにやってたね」と**“行動を見守っているよ”という姿勢を伝える**ことが、意欲につながります。
第4章 “集中が難しい”のが発達的な特性によることも
以下のような場合は、ADHDや自閉スペクトラム症など、注意のコントロールに特性がある可能性もあります。
- 興味があることにも数分しか集中できない
- 動き回りすぎて集団活動が成立しない
- 注意の切り替えが極端に苦手
- 感覚の過敏・鈍麻が強く日常生活に影響がある
→ 専門家による評価や、療育での支援を検討することで、「なぜ集中できないのか」を整理し、適切なアプローチを取ることができます。
最後に:「集中できない」のではなく「集中しにくいだけ」かもしれない
集中力とは、生まれつき一律に備わっている力ではありません。
子どもの個性、環境、興味、感覚の特性など、さまざまな要素が組み合わさって育っていくものです。
「じっとしていられない」「すぐ飽きてしまう」と感じたら、
まずは「集中できない子」と決めつけず、
「この子の集中しやすい形はどこにあるかな?」という視点で見つめてみてください。
そして、
- 少しでも取り組めたこと
- 興味を持てた場面
- 体を動かして切り替えられた経験
それらの一つ一つが、集中力の土台を育てていきます。