「“音に敏感・服を嫌がる”——感覚の困りごとに気づくには?」

こんにちは。
お子さんの日常で、こんな行動が気になったことはありませんか?
- 洗面所の手を乾かす音で耳をふさぐ
- 髪をとかすのを極端に嫌がる
- 服のタグや縫い目が気になって着替えを拒否する
- 靴下の向きや肌触りに何度もこだわる
- 急に走り出して壁にごろんとぶつかりに行く
こうした行動は、単なる「わがまま」や「気まぐれ」ではなく、“感覚の困りごと”が背景にあることがあります。
今回は、目に見えにくい「感覚の特性」に焦点をあて、子どもの行動の見方や、家庭でできるサポートについてお伝えします。
第1章 “感覚の困りごと”ってどういうこと?
人は五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)だけでなく、
- 前庭感覚(バランス・回転など)
- 固有感覚(筋肉や関節の動き・力加減)
などを使って、世界を感じ、動き、生活しています。
これらの感覚が過敏(強く感じすぎる)、または**鈍麻(感じにくい)**であると、日常の中で「不快・不安・混乱・イライラ」が起こりやすくなります。
第2章 見逃されやすい“感覚のサイン”とは?
✅ 音に敏感(聴覚過敏)
- トイレの流れる音でパニックになる
- 電車や掃除機の音で泣き出す
- 人の声が重なると集中できない
→ 音が“痛い”“怖い”と感じていることも。
✅ 服の違和感に過敏(触覚過敏)
- タグや縫い目が気になる
- 裸足を極端に嫌がる/逆に裸足ばかり
- 洋服を何度も脱ぎたがる
- 肌に触れる刺激で集中力が落ちる
→ “チクチク”“気持ち悪い”と感じている可能性があります。
✅ 逆に“刺激がほしい”(鈍麻・感覚追求)
- やたらと壁にぶつかったり、ジャンプを繰り返したりする
- ぐるぐる回るのが好き
- なんでも触る・舐める
- 「大きな音」や「痛み」への反応が鈍い
→ 刺激を求めて行動する子もいます。
第3章 “感覚特性”があると、何が起きるの?
感覚に過敏・鈍麻があると、生活の中でさまざまな「困りごと」が起きます。
🔹 集団活動が苦手に見える
→ 音や人の多さ、服の不快感などが影響して、「落ち着きがない」「関わりが難しい」と誤解されることがあります。
🔹 着替えや身だしなみが苦痛
→ 服の不快感、顔や頭を触られる不快感から、着替えや歯磨きを嫌がることも。
🔹 落ち着いて座れない/集中しづらい
→ 感覚が“ざわざわ”している状態では、活動に集中することが難しくなります。
第4章 家庭でできる感覚サポート5つの工夫
(1)「困りごと」を“感覚のせい”かもしれないと考えてみる
→ まず、「わがまま」「言うことを聞かない」と決めつける前に、「もしかして“感じすぎてる”のかも?」という視点を持つだけでも、関わり方が変わります。
(2)“安心できる素材・環境”を整える
- 柔らかくてタグのない服を選ぶ
- 靴下や下着は“本人が選んだもの”にする
- 騒音を避け、静かな環境を作る(ノイズキャンセリングイヤーマフの活用も〇)
→ 感覚刺激を減らすだけで、行動が落ち着くこともあります。
(3)“感覚を満たす”遊びを取り入れる
→ 感覚を満たすと、心も落ち着きやすくなります。
✅ 例:
- トランポリンやジャンプ
- 坂道を登る・すべり台
- 雑巾がけ、縄跳び(固有感覚)
- 砂遊び、水遊び(触覚)
→ 自分に合った刺激を十分に受けることで、落ち着いて行動できるようになる子もいます。
(4)無理に慣れさせようとしない
→ 「慣れれば平気になるでしょ」と繰り返すと、感覚的な不快が“トラウマ”になることも。
✅ ポイント:
- 少しずつ慣らす
- 本人のペースに合わせる
- 「気持ち悪いよね」と共感して寄り添う
(5)“特性を理解している”ことを言葉で伝える
- 「音が大きくてびっくりしたね」
- 「この服、チクチクするんだよね」
- 「ジャンプしたくなるときがあるよね」
→ 「わかってくれてる」と感じることで、子ども自身も落ち着きやすくなります。
第5章 こんなときは専門機関へ相談を
- 感覚の過敏・鈍麻が日常生活に大きな支障をきたしている
- 集団生活への適応が極端に難しい
- 他の子と比べて極端に過敏・追求が強い
- “困りごと”の理由がつかめず、親が疲弊している
→ 児童発達支援センターや療育機関などでの評価・支援が有効です。
最後に:「見えない感覚」に気づけるまなざしを
感覚の困りごとは、目に見えません。
だからこそ、「なぜこんなことをするの?」「どうして嫌がるの?」と大人が困惑したり、叱ってしまったりしがちです。
でもその行動の背景には、
- 「ちくちくしてイヤ」
- 「音がこわい」
- 「なんだか落ち着かない」
そんな、“感じすぎる世界”を生きる子どもたちのSOSがあるかもしれません。
「わがまま」と見るのではなく、
「どんな感覚が心地悪いんだろう?」と見つめること。
それが、子どもの安心につながり、
“わかってもらえた”という信頼が生まれる第一歩になります。