“ずっと同じ遊び”ばかり選ぶのはなぜ?

こんにちは。
お子さんが、毎日同じおもちゃで遊んだり、同じ番組・絵本ばかり見たがったりすることに、こんな不安を感じたことはありませんか?
- 「またこれ…ってくらい、ずーっと電車の本ばかり」
- 「公園でも、毎回同じすべり台しか行かない」
- 「レゴばっかりで他のおもちゃに見向きもしない」
- 「せっかく新しい絵本を買ったのに、開きもしない」
「いろんな遊びをしてほしい」「視野を広げてほしい」
そう思うのが親心かもしれません。
でも、実は“同じ遊びを繰り返す”ことには、子どもなりの理由と、発達上の意味があるのです。
第1章 子どもは「くり返し」で育つ
まず大前提として、人間の発達にとって「くり返し」はとても大切な要素です。
✅ 同じことを何度も繰り返すことで…
- 動きが洗練されていく(粗大運動・微細運動)
- 仕組みを理解する(因果関係や構造)
- 安心感を得る(予測がつく世界)
たとえば、何度も同じボタンを押す、ブロックを同じ形に並べる、同じページばかり開く——
これは、脳の中で「知ってる」「わかる」が積み重なっているサインでもあります。
第2章 “同じ遊びばかり”が気になる理由とは?
保護者の方が気になるのは、こうした疑問ではないでしょうか?
- 「発達に偏りがあるのでは?」
- 「他のことに興味がないのでは?」
- 「知的な広がりが足りないのでは?」
その不安も、もちろん大切な視点です。
ただし、大切なのは、“同じことをしている理由”を見つめることです。
第3章 “同じ遊びばかり”の背景にある3つの理由
(1)“予測できる世界”が心地いい
→ 初めてのもの・想定外のことが苦手な子にとっては、「結果がわかる遊び」が安心材料になります。
✅ 例:
- 自分でゴールを決められる電車遊び
- 展開が決まっているテレビ番組
- 音や仕掛けが毎回同じおもちゃ
→ 「何が起こるか分かっていること」で、自信を持って遊べるのです。
(2)“感覚”を満たす役割がある
→ 感覚が過敏/鈍麻な子にとって、特定の遊びは**「感覚を調整する道具」**になっている場合があります。
✅ 例:
- 揺れる遊具ばかり好む→前庭感覚の追求
- 指先を使うレゴで延々遊ぶ→触覚や固有感覚の調整
- パズルばかり→視覚・空間認知が落ち着く
→ 他の遊びに行かないのではなく、“必要な刺激”を満たしている可能性があります。
(3)“得意”を伸ばしている最中
→ 特定の遊びが得意な場合、「できる=楽しい」「結果が出る=もっとやりたい」状態になっています。
✅ 例:
- 絵を何時間も描いている
- 時計の仕組みに興味を持ち、自分で研究している
- 歌を何度も聞いて、真似して歌っている
→ 繰り返す中で“自信”と“理解”が育っている過程なのです。
第4章 家庭でできる5つのサポート
(1)「なぜ同じ遊びを選ぶのか?」を観察する
→ 子どもが何を得ているかを知ると、見方が変わります。
- 「安心したいのかな?」
- 「自分でコントロールしたいのかな?」
- 「音や形にこだわりがあるのかな?」
(2)無理にやめさせようとしない
→ 「たまには違うのにしなさい」などと誘導しすぎると、逆に不安定になったり、遊び自体を楽しめなくなります。
(3)“ちょい足し”で遊びに広がりをつける
→ 全く別の遊びに移るのではなく、「ちょっとだけ新しい刺激」を加えてみましょう。
✅ 例:
- レゴに紙を加えて「看板」や「街」を作ってみる
- 電車の線路のそばに、お店や信号を作ってみる
- 好きな本の登場人物を使ってお話を作る
→ 「好き」に「+α」の経験を乗せることで、自然と遊びの幅が広がります。
(4)一緒に遊びながら“他の遊び”に橋をかける
→ 子どもは、信頼できる大人と遊ぶ中で「いつもと違うこと」にチャレンジしやすくなります。
✅ 例:
- 「それって、お店やさんごっこにできそうだね」
- 「この電車、今日のお話はどうなるかな?」
→ 無理のない範囲で“展開”を加えると、自発的な広がりが出てくることもあります。
(5)“その子の得意”を見逃さずに育てていく
→ 繰り返し遊びの中には、得意の芽が隠れていることも多いのです。
- 「空間認知の力」
- 「ストーリーを作る力」
- 「集中力や観察力」
→ 子どもが“何を楽しんでいるのか”をていねいに見ていくと、将来の強みにもつながります。
第5章 こんなときは専門的な視点も
以下のような場合は、発達の専門家に相談するのがおすすめです。
- 極端に偏った遊びしかしない(生活や学びに支障)
- 「それ以外は不安でできない」状態が長く続いている
- 人とのやりとりが極端に苦手
- 言葉のやりとりや模倣の広がりが乏しい
→ ASD(自閉スペクトラム症)や感覚統合の課題などが背景にある可能性もあります。
最後に:「“同じこと”の中にある“育ち”を見つめよう」
「どうして、またそればかり…?」と心配になる気持ちは、とても自然です。
でも、子どもにとっての「同じ遊び」は、“自分の世界”を安心して広げる土台なのかもしれません。
わかる → できる → 楽しい → もっとやりたい
この流れの中で、子どもたちは確かに育っています。
無理に広げるのではなく、
「今、その子が必要としている世界ってなんだろう?」と見つめながら、
少しずつ、その“好き”が“世界”に広がっていくようなサポートを重ねていきましょう。