“声が小さい・話さない”子とのコミュニケーション

こんにちは。
お子さんについて、こんなふうに感じたことはありませんか?
- 家では元気に話すのに、園では全然しゃべらない
- 初めての人や場所では固まってしまう
- 話しかけても、小さな声でモゴモゴ…聞き取れない
- 声を出すこと自体を避けようとしているように見える
「なぜ話さないの?」「声が小さすぎて会話にならない…」
そんなふうに感じると、保護者としても不安になってしまいますよね。
でも、“話さない”背景には、その子なりの理由があります。
そして、適切な理解と関わりで、少しずつ安心して声を出せる環境をつくることができます。
今回は、「声が小さい」「話さない」子どもたちと向き合うためのヒントを、心理・発達の視点からお届けします。
第1章 “話さない”って、どういう状態?
まず、「話さない」という状態には、いくつかの種類があります。
✅ 1.“恥ずかしくて話せない”
- 初対面や大勢の前で話すのが苦手
- 視線や注目が怖い
- 自信のなさから声が小さくなる
→ 環境に慣れてくると、少しずつ話せるようになる子も多いです。
✅ 2.“緘黙(かんもく)傾向”がある
- 家では話すが、園・学校など特定の場では話さない
- 話そうとすると身体がこわばったり、無言になってしまう
- 幼児期から続いており、状況が固定化している
→ 「選択性緘黙」と呼ばれる状態で、**不安やストレス反応として“声が出なくなる”**ことがあります。
✅ 3.“ことばで話すこと自体に苦手さがある”
- 言葉の処理や表出に困難がある(言語発達の遅れ)
- 語彙が少なく、会話の組み立てが難しい
- 他者と視線を合わせたり、やりとりすること自体が難しい(ASD傾向)
→ 「話したくない」のではなく、「話すことが難しい」「どう話していいかわからない」状態です。
第2章 “話さない子”に見られる共通の心のサイン
✅ 1.「間違ったらどうしよう」という不安
→ 正しく話せるか、人からどう見られるかをとても気にしています。
「失敗=恥ずかしい」「変に思われたくない」という思いから、話さないことを選んでいるのです。
✅ 2.「声を出すこと」がストレス
→ 声を出そうとすると、体が固くなったり、動悸がしたりすることも。
まさに“心と体がブレーキをかけている”状態です。
✅ 3.「言葉より、他の方法が得意」
→ 身振りや視線、行動などで意図を伝える子も多くいます。
言葉以外の手段の方が、安心して気持ちを伝えられる場合もあるのです。
第3章 NGな対応:焦らせる・比べる・問い詰める
「話せるようになってほしい」と思うあまり、つい言ってしまいがちな対応が、逆に子どもの不安を強めてしまうことがあります。
❌ よくあるNG対応
- 「なんでしゃべらないの?」と問い詰める
- 「○○ちゃんはちゃんと話せるのに」などと比較する
- 「お返事しなさい」「挨拶しないとダメ」など命令的に迫る
- 大人同士で「この子、全然話さないのよ」などと話すのを聞かせる
→ これらは、子どもにとって「責められている」「わかってもらえていない」と感じる体験になります。
第4章 家庭でできる“安心感”を育てる関わり方
(1)「話せないこと」を否定しない
→ 「声が出なくても大丈夫だよ」「少しずつでいいよ」と、存在自体を受け入れていることを伝えましょう。
(2)“言葉以外”の伝え方を大切にする
- うなずき、ジェスチャー、指差し、カードなども立派な表現です。
- 「そうやって伝えてくれてうれしいよ」と言葉にしてあげると、自己表現への自信につながります。
(3)声の代わりに「サイン」や「合図」を決めておく
→ 「お迎えに来たら手を振ってくれたらOK」など、無理に声を出させないやりとりも有効です。
(4)“成功体験”を積み重ねる
→ 小さな場面で「伝わった!」「認められた!」という経験を重ねることで、「また伝えてみよう」という気持ちが育ちます。
(5)「話せた瞬間」を過剰に褒めすぎない
→ 不安の強い子は、「話せた」ことを大げさに褒められると、次から「また注目されるのが怖い」と感じてしまうことも。
→ さりげなく、「ありがとう、伝えてくれてうれしいよ」と肯定するのがポイントです。
第5章 こんなときは相談を
以下のような様子が続く場合は、専門的なサポートが有効です。
- 園や学校など特定の場面で、半年以上話さない
- 話そうとすると強い緊張・不安を訴える
- 親や家族にも言葉での表現がほとんどない
- 言葉の理解・表出に遅れがある
- まわりとの関係に極端な困難がある(視線が合わない、やりとりにならない など)
→ 小児科や発達支援センター、ことばの教室、療育機関(言語聴覚士や心理士)などへの相談をおすすめします。
最後に:「話さない」の奥にある、“伝えたい”気持ちに目を向けて
子どもが話さないと、「なんで?」「このままで大丈夫?」と不安になることは自然です。
でも、大切なのは“声”そのものではなく、「心がどう感じているか」という部分。
声が小さくても、言葉がなくても、
子どもは何かを伝えようとしているのかもしれません。
焦らず、責めず、
「あなたがあなたでいい」と思える安心の中で、
少しずつ「声にしてみようかな」という芽が育っていきます。
子どもの気持ちに寄り添いながら、そのタイミングを一緒に待っていきましょう。