“ことばが遅い”と言われたとき、親ができること

こんにちは。
乳幼児健診や園の先生から、こんな言葉をかけられて不安になったことはありませんか?
- 「ちょっとことばがゆっくりかもしれませんね」
- 「発語が少ないように感じます」
- 「もう少し言葉のやりとりがあるといいですね」
こう言われると、
「うちの子、発達に問題があるのかな?」
「何か努力が足りなかったのかも…」と悩んでしまう方も多いかと思います。
ですが、ことばの発達には個人差がとても大きいのが事実です。
そして、「遅れている=問題がある」とは限らないのです。
今回は、「ことばが遅い」と言われたときに親が知っておきたいこと、
家庭でできるサポートの工夫、そして必要に応じた相談先についてお話しします。
第1章 「ことばが遅い」とはどういうこと?
まず、“ことばが遅い”とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。
✅ 一般的な発語の目安(あくまで目安です)
| 年齢 | 発達の目安 |
|---|---|
| 1歳頃 | 単語(マンマ、ブーブーなど)が1〜2語出る |
| 1歳6ヶ月頃 | 意味のある単語が10語程度 |
| 2歳頃 | 2語文(「ママ きた」「ワンワン いた」)が出始める |
| 3歳頃 | 会話のやりとりが可能になり、質問もできるようになる |
※この通りでなければ“異常”というわけではありません。
※家庭環境・個人差・性格・気質によって大きく幅があります。
第2章 ことばの発達は“5つの力”の連動で進む
「ことばを話す」ためには、いくつかの能力が関係しています。
✅ 1.聞く力(聴覚)
→ 大人のことばを正しく聞き取れる力
✅ 2.理解する力(言語理解)
→ 言葉の意味をイメージできる力
(例:「りんごって何?」と聞かれて答えられる力)
✅ 3.真似する力(模倣)
→ 音や口の動きを真似できる力
(「バイバイ」や「こんにちは」なども模倣から始まります)
✅ 4.伝えたい気持ち(発信の動機)
→ 自分の気持ちや要求を相手に伝えたいという意欲
✅ 5.口や舌の動き(発音・構音)
→ 発声に必要な筋肉と動きが発達しているか
これらのどこかに負担があると、ことばの発達がゆっくりになる場合があります。
第3章 ことばが遅れて見える子の特徴
ことばがゆっくりな子の中には、次のような特徴が見られることがあります。
- 指さしやジェスチャーで意思表示をしている
- 親の言っていることは理解している様子がある
- 自分のペースで遊びを楽しんでいる
- 音や声にはよく反応するが、自発的な発語が少ない
これらの様子があれば、ことばの芽は育ちつつあると考えられます。
焦って言葉だけを引き出そうとするよりも、“コミュニケーションの土台”をしっかり育てていくことが大切です。
第4章 家庭でできる!ことばを育てる5つの関わり
✅(1)「一緒に体験して、ことばにする」
→ 絵本や動画だけでなく、実際の体験の中でことばに触れることが、最も効果的です。
✅ 例:
- お風呂で「あったかいね」「ジャーって出るね」
- 公園で「すべり台、つるーん!」「ブランコ、ゆらゆら〜」
→ 体験+音+視覚情報が結びつくことで、ことばが記憶に残ります。
✅(2)「短く、ゆっくり、はっきり話す」
→ 大人の話し方が速すぎたり、長すぎたりすると、子どもは処理しきれません。
✅ ポイント:
- 1文を短くする(例:「クレヨンとって」ではなく「クレヨン。とってね」)
- 聞き取りやすい速さで
- 視線を合わせて話す
✅(3)「ことばのシャワー」を浴びせすぎない
→ よかれと思ってたくさん話しかけすぎると、逆に混乱する子もいます。
→ 子どもの反応を見ながら“間”を大切にすることも重要です。
✅(4)「ジェスチャーや表情」を使ってやりとりを楽しむ
→ ことばが出なくても、非言語的コミュニケーションを育てることで土台が強くなります。
✅ 例:
- バイバイ
- 手を差し伸べて「どうぞ」
- 一緒に拍手して「パチパチ」など
✅(5)「子どもの声や発音をオウム返しする」
→ 子どもが「あー」や「うー」など音を出したら、それを真似して返してあげることで、対話のキャッチボールが育ちます。
✅ 例:
子「ば!」
親「ばっ!」
子「ば!」
親「ばばば〜!」
→ ことばのやりとりは、このような音遊びから育っていきます。
第5章 気になるときはどこに相談すればいい?
「やっぱりちょっと気になるかも…」と思ったら、以下の場所で相談できます。
- 市区町村の発達相談窓口
- 保健センター(1歳半・3歳児健診時の相談)
- 小児科医(発達専門医)
- 療育センター
→ 言葉以外にも、「理解」「表出」「遊び」「視線」「模倣」「感覚」など多面的に評価することで、
その子に合ったサポートが見つかります。
最後に:「ことば」は“育つもの”であって、“教えるもの”ではない
大人がどれだけ「話してごらん」と言っても、
子どもが安心し、理解し、伝えたいと思ったときに、初めて“ことば”は自然にあふれてきます。
焦る気持ちはとてもよく分かります。
でも、ことばは「発達のゴール」ではなく、「心と心をつなぐ道具」です。
まずは、その子のペースを信じて、
“ことばが出る前のコミュニケーション”をたっぷりと育てていくことが何よりの土台になります。
「ことばが遅い」と言われたときこそ、
今ある“声にならない伝えたい気持ち”に耳を傾けてあげてくださいね。