“偏食”はワガママ?——食べられない子の感覚と心

こんにちは。
食事の時間が、毎日の悩みになっているご家庭も多いのではないでしょうか?
- おかずは一切食べず、ごはんだけ
- 緑の野菜を見ると「イヤッ」と逃げ出す
- ひと口食べただけで吐きそうになる
- とにかく同じものしか食べない(例:カレーだけ・うどんだけ)
- 新しいものにチャレンジしない
保育園や幼稚園の先生に相談しても、
「みんなと同じように食べるよう声をかけています」
「少しずつ慣れていきましょう」と言われるものの、
家庭では一向に変わらない…。
つい「ワガママなんじゃないか」「もっとちゃんと食べさせなきゃ」と焦ってしまう気持ち、よく分かります。
でも実は、“偏食”の背景には感覚や心の特性が深く関係していることがあるのです。
第1章 「偏食」は“好き嫌い”とちがう?
偏食という言葉はよく使われますが、その中身は大きく2つに分かれます。
✅ 1.「選り好みタイプ」の偏食
→ 味や見た目で好き嫌いを判断し、避けようとする。
→ 時間とともに慣れてくることが多い。
✅ 2.「感覚がつらいタイプ」の偏食
→ 食感、におい、見た目、口に入れたときの感覚そのものが「不快」「怖い」と感じられる。
→ “無理に食べさせる”ことでかえって食事嫌いになるリスクがある。
特に後者の場合、本人は「食べたいけど食べられない」「頑張っても吐きそうになる」という状態にあり、
決して“甘え”や“ワガママ”ではないのです。
第2章 偏食の背景にある“感覚”の敏感さとは?
子どもには、“五感”を通して世界を感じています。
中でも、**味覚・嗅覚・触覚(口の中の感覚)**が偏食に大きく関わります。
✅ 1.食感の違和感
→ ぬるぬる、ドロドロ、シャリシャリなどの食感が「気持ち悪い」と感じられる
✅ 2.味・においへの敏感さ
→ にんじんの独特なにおい、ほうれん草の苦みなどを、敏感に感じ取ってしまう
✅ 3.見た目の不快感
→ 混ざっているものや形の崩れた食材に不安を覚える(例:シチューやカレーが苦手)
✅ 4.温度のこだわり
→ 熱すぎる/冷たすぎるものが極端に苦手
これらは、“感覚過敏”といわれ、ASD(自閉スペクトラム症)やADHDの子どもたちにも多く見られる特性です。
第3章 家庭でできる5つのサポート
✅(1)「食べる練習」ではなく「慣れる経験」から始める
→ まずは“見てみる”“触ってみる”などの非食べるステップを大切にしましょう。
例:
- 一緒に買い物で選ぶ
- 調理を手伝う(ちぎる・混ぜるなど)
- お皿に盛りつけるだけでもOK!
✅(2)無理に口に入れさせない
→ 口に入れることに強い不安がある子には、無理に食べさせると“防衛反応”が働いてしまいます。
→ 一度の失敗が「もう二度と食べたくない」につながることも。
✅(3)“このままじゃダメ”を手放す
→ 偏食があっても、成長や栄養に問題がないケースも多いです。
→ まずは、本人が「食べられるもの」の中で栄養を確保しつつ、少しずつ幅を広げていくことが大切です。
✅(4)「一口食べたらエライ!」の文化をつくらない
→ “一口プレッシャー”が強すぎると、逆に食卓が苦痛になってしまいます。
→ 一口食べなくても、「見てくれたね」「においを感じられたね」とプロセスをほめることが支援になります。
✅(5)食べられた日は“食材”ではなく“気持ち”を認める
→ 「今日はがんばって食べたね」ではなく、「チャレンジしてみようと思ったんだね」と、子どもの意志と成長に目を向ける言葉かけを。
第4章 「このままで大丈夫?」の目安と相談先
以下のような場合は、一度専門家に相談してみると安心です。
- 主食しか食べない(ごはんやパンだけ)
- 固形物が食べられない/嚥下が不安定
- 食事中に泣き出す、強く拒否する
- 極端な体重減少や成長曲線の乱れがある
- 食事中にパニックのような行動が見られる
✅ 相談できる場所:
- 小児科(特に発達外来)
- 栄養士がいる保健センター
- 療育センター・児童発達支援など
最後に:「食べられない」には“心と感覚”の理由がある
子どもが何かを食べたくないとき、
そこには「イヤ!」という表面的な反応の裏に、不快・不安・恐怖・混乱といった感情が隠れていることがあります。
偏食は、「成長とともに自然に治る」こともあります。
でも、“ただ放っておけばいい”のではなく、
子どものペースと気持ちに寄り添ったアプローチが大切です。
「食べなさい!」と叱るよりも、
「見てくれたね」「がんばってくれてありがとう」の一言で、
食卓はぐっと安心の場所になります。
小さな一歩が、未来の食事を変えていくことを信じて、
今日も笑顔で「いただきます」が言える食卓を目指していきましょう。