“お友だちに手が出る”子に、していい声かけ・してはいけない声かけ

こんにちは。
子育て中、こんな場面に出会ったことはありませんか?
- おもちゃを取られた瞬間、相手を叩いてしまった
- 自分の思いが通らずに、手が出た
- 並んでいるときに、後ろの子を押してしまう
- 突然お友だちに突っかかるような行動をとる
保育園や園庭、家庭での集まりで、
「どうして手が出るの?」と困ってしまう場面。
それを見た保護者としては、
「やってはいけないことなのに…」
「他の子に申し訳ない」
「何度言っても直らないのはなぜ?」
と心配や焦りが募りますよね。
今回は、「手が出る」行動の背景と、
保護者ができる「していい声かけ・してはいけない声かけ」について、
発達支援の視点から具体的に解説していきます。
第1章 なぜ子どもは“手が出る”のか?
✅(1)感情を言葉で整理できないから
小さな子どもは、「怒った」「悔しかった」「嫌だった」という気持ちを、
言葉で表現するのがまだ難しい時期です。
そのため、「やめて!」の代わりに、
叩く・押す・引っ張るという“行動”で気持ちを表そうとします。
✅(2)衝動を抑える力が育ちきっていない
発達の過程では、感情が高ぶったときに自分を抑える「抑制機能」が、まだ十分ではありません。
特にADHD傾向のある子や、多動性の高い子にはこの特性が強く出やすいです。
✅(3)他者の気持ちを想像するのが難しい
「相手が痛い」
「相手が嫌な気持ちになる」
といった“相手視点の想像力”も、まだ発達途中です。
これは意地悪ではなく、「発達の課題」として出ている行動なのです。
第2章 よくある“してはいけない”声かけ
保護者が思わず言ってしまいがちな声かけですが、
子どもにとって逆効果になることもあります。
❌「なんでそんなことするの!」
→ 感情の整理ができていない子に、理由を問うのは酷です。
❌「いい子にしてって言ったでしょ!」
→ 行動を“性格”や“価値”と結びつけると、自尊心が傷つきます。
❌「そんな子とは遊べないよ」
→ 行動を否定するつもりでも、“存在そのもの”を否定されたと感じてしまうことがあります。
❌「あの子が泣いてるでしょ!」
→ 相手の気持ちに寄り添う力が未熟な子に、罪悪感だけを植えつけると、混乱や自己否定に陥ることがあります。
第3章 “していい”声かけと対応の工夫
✅(1)まずは「落ち着ける環境」をつくる
→ 怒ったり、泣いたり、興奮している状態では、
どんな言葉も届きません。
- 少しその場を離れる
- 大人の膝に来させて、ゆっくり呼吸を整える
- 「大丈夫、ママは一緒にいるよ」と安心させる
このように“安全な場所”に子どもを戻すことが第一歩です。
✅(2)気持ちを代弁してあげる
→ 子どもは「嫌だった」「取られて悔しかった」など、
自分の気持ちを整理する言葉を持っていません。
例:
- 「取られてびっくりしたね」
- 「“やめて”って言いたかったんだよね」
- 「悔しかったんだよね」
と、気持ちを代弁するだけで、行動が落ち着くことがあります。
✅(3)次の行動を教える
→ 「ダメ!」だけでは、次にどうすればよかったのかがわかりません。
例:
- 「“やめて”って言っていいんだよ」
- 「“貸してって言おうね”って練習しようか」
- 「困ったときは大人のところに来ていいよ」
行動の代わりとなる“手段”を教えることが大切です。
✅(4)その子の“できたこと”を見つける
たとえ手が出たあとでも、
- 少し我慢できた
- 最後は泣き止んで自分で切り替えた
- 言葉で伝えようとした
など、どんな小さな成長も見つけて声をかけてあげましょう。
第4章 こんなときは、専門機関に相談を
手が出る頻度が高く、集団生活に困難が出ていたり、
家庭でも常に衝動的な行動が見られる場合には、
発達特性(ADHD、ASDなど)や感覚過敏、不安傾向が背景にあることもあります。
✅ 相談先の例:
- 発達外来(小児神経科)
- 保健センター
- 児童発達支援センター
「性格の問題」や「育て方のせい」ではないと理解されると、保護者の気持ちもぐっと楽になります。
最後に:「手が出る」その瞬間に、本当は伝えたい気持ちがある
子どもが手を出してしまうと、大人はどうしても“問題行動”としてとらえがちです。
でもその裏には、
- わかってほしい
- 嫌だった
- どうしていいかわからなかった
- 混乱していた
そんな、まだ言葉にならない「SOSのサイン」が隠れています。
大切なのは、「行動を叱る」ことではなく、
その行動の奥にある“気持ち”に寄り添い、“代わりの方法”を教えること。
叩く・押す——そんな行動を繰り返していた子が、
やがて「ことば」や「大人の助け」を使えるようになったとき、
その子は確実に大きな一歩を踏み出したことになります。
焦らず、責めず、まずは「わかってあげる」ことから始めましょう。
あなたのそのまなざしが、子どもの心を育てていきます。