“順番が待てない”はわがまま?——抑制機能の育ちと“順番”の意味づけ

第1章 “次、順番だよ”が届かない瞬間
たとえば遊び場、おやつの時間、家族で何かの順番待ち…「次はわが子の番だよ」と声をかけても、なかなか並べない、待てずに前に出てしまう。そんな姿に反応して、「しっかり待ちなさい!」と強く言いたくなることもあるでしょう。でも、その背後には“意図せずに動いてしまう体と心”があるだけかもしれません。
第2章 順番が待てないのはわがままではない—科学が教える注目の背景
- 抑制機能(インヒビトリーコントロール)の発達とは?
(1)“衝動を抑えて考える力”が育つまでには時間がかかる
(2)0〜1歳末から始まり、6歳くらいまで急速に伸びる - 抑制機能の種類と役割
(1)認知的抑制:注意を切り替えて集中を保つ力
(2)行動的抑制:衝動的な行動を抑えて順番を待つ力
(3)情動的抑制:感情をコントロールし、順番の期待をつなぐ力 - “順番が待てない”1つに見える行動も、背景には脳の発達段階がある
(1)幼児は大人に比べて前頭前皮質が未熟で、制御がそもそも難しい
(2)研究では、待つ力が強い子ほど社会性・学習力にも良い関係が見られる
第3章 順番を待てるようにする「意味づけ」とは?
- 「順番」はルールではなく、安全な関係をつくる時間である
(1)順番を守る=みんなで遊ぶための“協力の合図”でもある
(2)順番待ちは“自分の番を安心して待てる心”の育ちにつながる - 「待つ」ことをゲームで楽しくする実践例
(1)「○○の番、あと3秒でママの番」など、視覚で知らせるタイマーの導入
(2)「Simon Says」や「赤信号・青信号」のような遊びで、待つタイミングを体感 - 他人との関わりの中で、“待つ”体験が自信と学びに変わる
(1)順番を待てた成功体験を拾い、「すごいね!」と肯定的な言葉をかけることで、行動が定着しやすくなる
第4章 家庭でできる「待つ力」を育てる具体アプローチ
- 小さな順番から始めてみる
(1)スイッチやリモコンを順に押して遊ぶ、「次はあなた、あとは僕」と声をかけながら練習 - 視覚化するサポート
(1)番号カードや順番ボードを使って視覚化し、頭の中で“見える順番”にする工夫 - 声かけの工夫が行動差に
(1)「次は○○ちゃんだよ」「○○まであと少しであなたの番だよ」と、タイミングよく言葉かけすることで待つ意識を育てる - 待ち時間を短く区切る工夫
(1)10秒→20秒→30秒…と徐々に待てる時間を伸ばしながら、達成感を積み重ねる - 遊びや日常で自然に待つ経験を重ねる
(1)一緒に並んでレジに並ぶ、順番を書いたくじ引き、簡単な順番遊びなど、日常の中で意図せず“待つ体験”を増やす
第5章 支援が必要なサインは?
- 順番待ちが極端にできず、生活に支障が出る場合は要チェック
(1)友だち関係、園生活、買い物などでトラブルが多い
(1)感情・行動が制御できず怒りや不安が強くなる場合 - 支援先の例
(1)小児発達外来、療育センターなど、抑制機能を育てるプログラムの相談も可能
最後に:「待てない」には“育ちのプロセス”がある
「順番が待てないのはわがままかな?」と思ったときは、まずは自分自身にこう問いかけてみてください。
- この子の脳は、今「抑制する経験」を少しずつ身につけようとしている段階なんだな
- 順番を待つって、みんなと関わるための“小さいけど大きな力”
- 今日、少し待てたね。明日はもうちょっとだけ待てるかもしれないね
「待ちの力」は、成長の証です。焦らず、温かく、そして具体的な関わりを重ねていくことが、子どもにとっての「できた!」の積み重ねになります。今日も一緒に、“子どものペースで育つ力”を、信じて見守っていきましょう。