“一緒に遊べない…”は心配?——『並行遊び』にある育ちのプロセスを理解する

お友だちと遊ばない子を見て、不安になるとき
「園でお友だちが一緒にごっこ遊びをしているのに、うちの子は横でブロックを一人でしていた」
「公園に行っても、他の子と遊ばずにマイペースで砂遊びをしている」
そんな姿を見て「うちの子、大丈夫かな?」と胸がざわついた経験はありませんか?
けれども実は、これは自然な発達段階のひとつであり、「並行遊び」と呼ばれる大切なプロセスです。
今回は、この並行遊びの意味、そこからどう「一緒に遊ぶ」につながるのか、そして保護者ができる具体的な声かけについてご紹介します。
第1章:「並行遊び」って何?
並行遊びの定義
並行遊び(parallel play)とは、子どもが同じ空間で遊んでいても、直接的なやりとりをせず、それぞれが自分の遊びをしている状態を指します。
例:
- 砂場で、一人は山を作り、一人は型抜きをしている
- 机の上で、一人はブロックでタワーを積み、一人は電車を走らせている
お互いの存在は意識していても、遊びは別々です。
発達段階でみる遊びの流れ
心理学者パーテンが示した「遊びの社会的発達段階」によると、遊びは以下のように進みます。
- ひとり遊び(solitary play)
- 傍観遊び(onlooker play)
- 並行遊び(parallel play)
- 連合遊び(associative play)
- 協同遊び(cooperative play)
3〜4歳ごろは「並行遊び」が多く、そこから徐々にやりとりのある遊びへ進んでいきます。
第2章:「一緒に遊べない=問題」ではない理由
並行遊びは「社会性の練習」
一見「一人遊び」に見えても、子どもにとっては
- 他の子の存在を意識している
- 遊びを観察して学んでいる
- 空間や道具を共有している
といった社会的な経験を積んでいます。
声かけ例
- 「お友だちと同じ砂場にいるね。○○ちゃんのこと見てるんだね」
- 「ブロック、横で一緒に作ってるね。なんだか楽しいね」
こうした言葉をかけるだけで、「一緒にいられること」に価値があると子どもに伝わります。
個人差の幅を受け止める
ある子はすぐに協同遊びに移りますが、別の子は並行遊びをじっくり楽しみます。
「まだ一緒に遊ばない=遅れている」ではなく、「その子のペースで関わりに近づいている」と考えましょう。
第3章:並行遊びから“つながる遊び”へ
やりとりの芽生え
並行遊びの中で「それ貸して」「見せて」など、短いやりとりが生まれることがあります。
声かけ例
- 「“貸して”って言えたね。ちゃんと伝えられたよ」
- 「“見せて”ってお願いできたね。いいね!」
ルールや役割の始まり
「ママ役するね」「電車ごっこで運転手ね」と役割分担が始まると協同遊びに移行していきます。
声かけ例
- 「運転手さんしてくれるんだね。ママはお客さんになるね」
- 「順番に並んで電車に乗るの、楽しそうだね」
並行遊びを尊重することの大切さ
「一緒に遊びなさい」と急がせるより、安心して並行遊びができる環境を保障することが、次のステップを自然に促します。
第4章:保護者にできる関わりの工夫
存在を認める声かけ
「一緒に同じ場所で遊んでるね」と、ただ一緒にいるだけで価値があることを伝えます。
観察をほめる
「お友だちの遊び、じっと見てたね。どんなふうに思った?」と、観察すること自体を認めます。
自然なきっかけを作る
おもちゃを多めに用意してシェアできる状況をつくることで、やりとりが生まれやすくなります。
声かけ例
- 「ブロック、たくさんあるから○○くんにもどうかな?」
- 「同じ色の積み木で作るとおもしろいね」
保護者が橋渡し役に
「○○ちゃんも砂を集めてるよ。一緒に山を大きくしてみる?」と、軽くつなぎ役をしてあげるのも効果的です。
第5章:支援が必要なケースとは?
並行遊び自体は自然な発達段階ですが、以下のような場合は発達相談も検討しましょう。
- 他の子にまったく関心を示さない
- 並行遊びの時期を大きく超えても一人遊びだけが続く
- こだわりが強すぎてやりとりが難しい
早めに相談することで、その子に合ったサポート方法を知ることができます。
最後に:並行遊びは「心配」ではなく「準備」
「一緒に遊ばないから心配」という気持ちは自然ですが、並行遊びは「一緒に遊べるようになるための準備」です。
- 他の子と同じ空間にいる
- 遊びを観察して学んでいる
- 少しずつやりとりが生まれていく
これはすべて、社会性が育つ大切なステップです。
子どもが自分のペースでつながりを作っていけるように、温かいまなざしとちょっとした声かけを届けてあげましょう。