“ママじゃなきゃイヤ!”〜特定の人へのこだわりと安心の関係〜

「ママじゃないとダメ!」に悩むとき
「パパが抱っこしようとすると大泣きする」
「祖父母に預けると、泣いてずっとママを探す」
「先生が声をかけても、“ママがいい!”と泣き叫ぶ」
子育てをしていると、こんな「特定の人へのこだわり」に直面することがあります。特に多いのは「ママじゃなきゃイヤ!」という姿です。
保護者としては「パパも頑張ってるのにかわいそう」「このままでは社会性が育たないのでは」と不安になったり、周囲から「甘やかしている」と言われて悩むこともあるでしょう。
しかし、実は「ママじゃなきゃイヤ!」は、子どもの心が育つうえで自然で大切なプロセスです。本記事では、その背景と意味、そして保護者の方ができる寄り添い方をご紹介します。
第1章:「ママじゃなきゃイヤ!」はなぜ起こるのか?
愛着形成のあらわれ
乳幼児は、特定の養育者に強い愛着を形成します。その対象が母親であることが多いため、「ママじゃなきゃイヤ!」となるのです。これは心の安全基地を確かめる行動でもあります。
発達段階として自然なこと
1〜3歳ごろに「特定の人に強くこだわる」姿がよく見られます。成長とともに徐々に他者へも心を開いていきます。
不安のサインでもある
新しい環境や生活の変化があると、「いつもの安心できる人」にこだわる気持ちが強まります。これは自己防衛の働きでもあります。
第2章:よくある場面と子どもの気持ち
パパでは泣きやまず、ママを探す
子どもにとって「パパは安心できない人」ではなく、「ママの安心感が強すぎる」ために起こることです。
声かけ例
- ママ:「パパも優しいよ、一緒にいようね」
- パパ:「ママが戻ってくるまで抱っこしてるよ」
園で先生に抱っこされても「ママ!」と泣く
登園直後や生活の変化がある時に強く出やすい姿です。
声かけ例
- 「ママはお迎えに必ず来るよ。先生と待っていようね」
- 「ここに来たら、またママに会えるよ」
祖父母や親戚では泣き続ける
親以外の大人への警戒心が強く出ているだけで、関わりを重ねるうちに少しずつ安心していきます。
声かけ例
- 「おばあちゃんも大好きだよ。ママは近くにいるから安心してね」
- 「一緒に遊んで待ってみようか」
第3章:「ママじゃなきゃイヤ!」をどう受け止める?
「甘えすぎ」ではない
「ママにべったり」は健全な愛着形成の証拠です。しっかりと甘えた経験を積むことで、子どもは徐々に他の人にも安心を広げていきます。
周囲の理解も大切
「ママにばかり頼って大変だね」と見られがちですが、実は「安心の土台を育てている時期」だと知ってもらうことが大切です。
保護者自身の気持ちのケア
「私じゃないとダメ」という状況は嬉しくもあり、負担でもあります。保護者が疲れすぎないよう、サポートを得ることも必要です。
第4章:子どもの安心を広げる工夫
① 短時間から他の人に預けてみる
最初は5分程度からスタートし、少しずつ「ママ以外の人でも大丈夫」という経験を積んでいきます。
声かけ例
- 「ママはちょっとお水を取りに行くね。すぐ戻るよ」
- 「少し待っててね。帰ってきたらぎゅっとしようね」
② 戻ってくることを伝える
「ママは必ず戻ってくる」と分かることが安心につながります。
声かけ例
- 「お迎えは絶対にママが行くよ」
- 「遊んでいる間にママは用事をしてくるね」
③ 一緒に関わる時間をつくる
パパや祖父母とママが一緒に遊ぶことで、子どもは「ママと一緒なら大丈夫」と感じ、徐々にその人への安心を広げていきます。
④ 「ママじゃなきゃ」を認める
無理に「パパで大丈夫にしなさい」とせず、「ママが安心なんだね」と認めることで、子どもは安心して次のステップへ進めます。
第5章:支援を考えるタイミング
「ママじゃなきゃイヤ!」自体は自然な発達の一部ですが、以下の場合は相談を検討してもよいでしょう。
- 年齢が大きくなっても強く続き、生活に支障がある
- パニックや強い不安で登園や外出が難しい
- 他の人との関わりにほとんど興味を示さない
療育センターや小児科で相談することで、不安へのサポートや発達特性の理解につながります。
最後に:安心の土台を広げていくために
「ママじゃなきゃイヤ!」は、子どもが安心を求めている証拠です。
- 愛着形成の大切なプロセスである
- 無理に直そうとせず、「ママが安心」を認めることが第一歩
- 少しずつ他者への安心を広げる工夫ができる
ママに強くこだわる時期は、一見「大変」と感じても、やがて「他の人でも大丈夫」に変わっていきます。
そのプロセスを大切にしながら、安心の輪を少しずつ広げていきましょう。