季節の変わり目、子どもの行動が変わるのはなぜ?〜気温や日光、生活リズムの変化が子どもに与える影響〜

秋から冬へ、春から夏へ——。季節が変わるたびに、親は子どもの様子が少し違うことに気づくことがあります。いつもより落ち着きがない、食欲がない、夜寝付きが悪い。「この季節の変わり目に、毎回こんな感じになる」と感じている親も多いのではないでしょうか。
多くの親は「気のせい」「季節のせい」と考えるかもしれません。しかし、実は子どもの体と心は、季節の変化に非常に敏感なのです。気温、日光、生活リズムの変化——これらは、子どもの脳と体に直接的な影響を与えるのです。この記事では、季節の変わり目に子どもの行動がなぜ変わるのか、そしてその時期に親ができることについて、詳しく解説します。
季節の変わり目に子どもの行動が変わる理由
気温の変化が体のリズムを乱す
人間の体は、気温の変化に敏感です。特に、子どもの体温調節機能はまだ完全に発達していないため、季節の変わり目の急激な気温変化に、体がストレスを感じるのです。
秋から冬へ向かう季節の変わり目では、朝晩の寒暖差が大きくなります。この気温変化に、子どもの体はエネルギーを使って対応しようとします。結果として、子どもの体は疲れやすくなり、心にも不安定さが生まれるのです。
逆に、春から夏へ向かう季節では、気温が上昇して、子どもの体の代謝が高まります。この時期は、子どもが夜中に目覚めやすくなったり、落ち着きがなくなったりすることがあります。
日光量の変化が脳と体に与える影響
季節が変わると、日光に当たる時間が大きく変わります。冬の季節には日が短くなり、子どもが日光に当たる時間が減少します。一方、夏の季節には日が長くなり、日光に当たる時間が増加するのです。
この日光量の変化は、実は非常に重要な意味を持っています。人間の脳には「体内時計」という機能があり、日光によって調整されるのです。朝日を浴びることで、脳は「朝だ」と認識し、体を目覚めさせるホルモン(セロトニン)を分泌します。一方、夜間に暗くなることで、眠気を促すホルモン(メラトニン)が分泌されるのです。
季節の変わり目で日光量が大きく変わると、この体内時計が乱れるのです。結果として、子どもは「寝付きが悪くなる」「朝起きられない」「昼間にぼんやりしている」といった症状を呈するようになるのです。
生活リズムの変化
季節の変わり目には、生活リズムも大きく変わります。例えば、秋から冬へ向かう時期は、学校の行事(運動会など)が減り、親も子どもも「そろそろ秋冬モード」に切り替える時期です。一方、春から初夏へ向かう時期は、入学式、新しい学年での新生活、遠足などの行事が増え、生活が忙しくなるのです。
この生活リズムの変化に、子どもの体と心は適応しようとします。その適応過程で、子どもは一時的に不安定さを示すことがあるのです。
季節の変わり目に起こりやすい子どもの変化
落ち着きがなくなる、多動性が増す
季節の変わり目に、いつもより子どもが動き回るようになったり、落ち着きがなくなったりすることがあります。特に、春から夏へ向かう時期に、この傾向が強まります。
これは、気温の上昇とともに、子どもの代謝が高まり、体が「動きたい」というシグナルを発しているからです。また、日光量が増えることで、脳が活性化され、興奮しやすくなるのです。
食欲の変化
季節の変わり目には、子どもの食欲が変わることがあります。夏が近づくにつれて食欲が減る、冬が近づくにつれて食欲が増すという、古い言い回しがあるのは、実は科学的な根拠があるのです。
気温が高まると、体の代謝が変わり、脳が「今は軽いものを食べればいい」というシグナルを出すのです。逆に、気温が下がると、体は「冬に向けて、栄養を蓄えよう」というシグナルを出します。この体の自然な反応が、親からは「食欲の変化」に見えるのです。
睡眠の乱れ
季節の変わり目は、子どもの睡眠が乱れやすい時期です。寝付きが悪くなったり、夜中に目覚めたり、朝なかなか起きられなくなったりするのです。
これは、前述した日光量の変化による体内時計の乱れが原因です。また、気温の変化に体が対応しようとしてエネルギーを使うため、睡眠の質が低下することもあります。
感情の不安定さ
季節の変わり目には、子どもの感情が不安定になることがあります。いつもより泣きやすくなったり、かんしゃくを起こしやすくなったり、不安を感じやすくなったりするのです。
これは、体の変化に脳が対応しようとしているプロセスで、一時的なストレスが生まれているからです。また、季節の変わり目による環境の変化(例:入学式、新学年など)が、心理的なストレスを加える場合もあります。
感染症にかかりやすくなる
季節の変わり目は、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすい時期です。これは気温変化によって、子どもの免疫機能がまだ対応中であり、体の防御機能が一時的に低下しているからです。
親としては、この時期に「十分な睡眠」「バランスの取れた食事」「適度な運動」を心がけることが、感染症予防の鍵になるのです。
季節の変わり目に親ができることの実践的なポイント
体内時計をリセットする
季節の変わり目に、最初にしるべきことは「体内時計のリセット」です。体内時計は、朝日を浴びることで調整されます。
実践のポイント
・毎朝、同じ時刻に起床する(できれば朝日を浴びる)
・朝食を毎日同じ時刻に食べる
・夜間は、できるだけ光の刺激を避ける(スマートフォンなどのブルーライトを見させない)
これらを意識的に実行することで、1~2週間で子どもの体内時計が新しい季節に適応していきます。
気温変化に対応できる衣服を用意する
季節の変わり目は、気温が安定しません。親は「脱ぎ着しやすい衣服」を用意してあげることが大切です。
実践のポイント
・朝晩の気温差が大きい時期は、重ね着で対応できる衣服を選ぶ
・園や学校への行き帰りに「羽織もの」を用意する
・子ども自身が「暑い」「寒い」と言ったとき、すぐに対応できるようにしておく
適切な気温環境を用意することで、子どもの体がストレスを感じる度合いが減少します。
睡眠の質を高める環境づくり
季節の変わり目に睡眠が乱れやすいのは、自然なことです。しかし、親は「質の高い睡眠環境」を作ってあげることで、その乱れを最小限に抑えることができます。
実践のポイント
・寝室の温度を調整する(季節に応じて18~22℃が目安)
・寝る1時間前から、照明を暗くする
・寝る前のスマートフォンやタブレットの使用を避ける
・就寝の30分前に、ぬるめのお風呂に浸かる習慣をつける
これらにより、子どもの体が「眠る準備」を整えやすくなります。
栄養バランスに気を配る
季節の変わり目は、食欲の変化があります。しかし、栄養不足に陥ってはいけません。親は「子どもが食べやすい形で、栄養バランスの取れた食事」を工夫する必要があります。
実践のポイント
・子どもが食べやすい「小ぶりなおかず」を多く用意する
・タンパク質をしっかり摂らせる(肉、魚、卵、豆類など)
・旬の野菜を取り入れ、季節の変化に体が対応しやすくするようにする
・水分補給も大切(特に気温が高くなる季節)
季節ごとの食材を活かすことで、子どもの体が「今の季節に適応する」ための栄養を得られます。
運動量を調整する
季節の変わり目に、子どもの活動量も調整する必要があります。特に、春から初夏へ向かう時期は、気温が高まり、子どもが過度に活動しすぎることがあります。一方、秋から冬へ向かう時期は、気温が下がるため、運動量を意識的に確保する必要があります。
実践のポイント
・春~夏:朝や夕方の涼しい時間に運動する。日中は室内遊びなども組み合わせる
・秋~冬:日中の日当たりの良い時間に、外遊びの時間を作る
・季節を問わず、運動後には十分な休息と水分補給をさせる
子どもが季節の変化に適応する過程で、親のサポートが非常に大切なのです。
心の安定を保つために
季節の変わり目は、子どもの心も不安定になりやすいです。親は、いつも以上に「子どもの感情に寄り添う」ことが大切です。
実践のポイント
・子どもが不安を示したときは「そっか、不安なんだね」と受け止める
・親自身も、季節の変わり目に影響を受けることがあることを認識し、落ち着いて対応する
・季節ごとの行事や変化について、事前に子どもに説明する(「4月は新学年だね」など)
親の落ち着きと安心感が、子どもにも伝わります。
実際の場面での対応例
【場面1】春から初夏へ向かう時期に、落ち着きがなくなった場合
❌親の悪い対応:「何でそんなに落ち着きがないの?集中しなさい」と怒る
✅親の良い対応:「季節が変わると、体が活発になるんだね。では、朝の散歩の時間を増やしてみようか」
親のポイント
・季節の変わり目による行動変化は、発達の問題ではなく、自然な反応であることを理解する
・その反応に対応した環境調整をする
・子どもが安全に活動できる場所で、活動量を調整させる
【場面2】寝付きが悪くなった場合
❌親の悪い対応:「早く寝なさい」と何度も繰り返す
✅親の良い対応:「秋から冬へ向かう時期は、体が変化しているんだね。では、寝る時間を少し早めてみようか。夜のお風呂も長めにしてみようか」
親のポイント
・睡眠の乱れは、一時的なものであることを理解する
・体内時計をリセットするための工夫を実行する
・子どもが「寝る準備」をしやすくする環境を整える
【場面3】食欲がなくなった場合
❌親の悪い対応:「ちゃんと食べなさい。栄養不足になるよ」と強制する
✅親の良い対応:「季節が変わると、食べたいものが変わるんだね。では、今の季節に食べやすい、小ぶりなおかずを用意しようか」
親のポイント
・食欲の変化は、季節の自然な反応であることを理解する
・子どもが無理なく栄養を摂取できる形を工夫する
・旬の食材を取り入れ、季節の変化に体が対応しやすくする
季節の変わり目を乗り越えるために
季節の変わり目は、確かに子どもに変化をもたらします。しかし、その変化は「問題」ではなく、「子どもが季節に適応しようとしている、自然なプロセス」なのです。
親が大切なことは、その過程で「子どもの変化を理解し、サポートする」ことです。気温に対応できる衣服を用意し、睡眠環境を整え、栄養に気を配り、そして何より「子どもの心に寄り添う」。
季節が変わるたびに、子どもの体と心は成長しています。その成長の過程を、親が温かく見守り、サポートすることで、子どもは「どんな環境の変化にも対応できる、柔軟な子ども」へと育っていくのです。
秋から冬へ、春から夏へ——。季節の移ろいの中で、親と子が一緒に成長していく。その営みこそが、子育ての素晴らしさなのではないでしょうか。