“様子を見ましょう”で失われる3年間。幼児期にペアトレが必要な本当の理由

「様子を見ましょう」という言葉に、救われなかった人へ
「まだ小さいですし、もう少し様子を見ましょう」
発達や行動について相談したとき、保護者が最初にかけられることの多い言葉です。
この言葉に、少しホッとする人もいれば、どこか置き去りにされたような感覚を抱く人もいます。
私はこれまで、療育や相談支援の現場で多くの親子と関わってきました。
その中で強く感じるのは、「様子を見ましょう」という言葉が、本来なら支えられたはずの大切な時間を、静かに奪ってしまうことがあるという事実です。
幼児期の3年間は、何も起こらない“待ち時間”ではありません。
関わり方を整えれば、未来が大きく変わる可能性を持った、とても密度の濃い時間です。
「そのうち落ち着く」は、本当に起きているのか
癇癪が激しい
切り替えが苦手
すぐ怒る、すぐ泣く
指示が通らない
こうした幼児期の行動は、「年齢的なもの」「個性」「成長過程」として説明されることがよくあります。
確かに、自然に落ち着いていく子もいます。
ただ、現場で多くのケースを見てきた実感として言えるのは、
困りごとが何もしなくても消えていくケースは、決して多くないということです。
家庭では同じ困りごとが毎日繰り返され、
親は「どう関わればいいのかわからないまま」対応を続けることになります。
幼児期の行動は「性格」ではなく「学習の結果」
幼児期の行動の多くは、性格ではありません。
ほとんどが、環境の中で学習された結果です。
泣けば要求が通る
強く拒否すれば大人が引く
癇癪を起こせば状況が変わる
子どもは、自分にとって「うまくいったやり方」を驚くほど正確に覚えます。
これは悪いことではなく、生きるために必要な力です。
だからこそ、関わり方を変えれば、行動も変わる可能性が高い。
それが、幼児期という時期です。
「様子を見る」ことで失われている本当のもの
様子を見ることで失われているのは、時間だけではありません。
修正できたはずの余白です。
1年、2年、3年と同じ関わりが続くうちに、
行動のパターンは少しずつ固まっていきます。
親も子も、「こういうものだ」と思い込み、
変えること自体が難しくなっていきます。
本当は、もっと早い段階でラクになれたかもしれない。
そう感じる場面を、私は何度も見てきました。
ペアレントトレーニングは「親を直すもの」ではない
ペアレントトレーニングと聞くと、
「親が指導される」
「ダメ出しされる」
「頑張りが足りないと言われる」
そんなイメージを持つ方も少なくありません。
でも、本来のペアレントトレーニングは違います。
親を変える訓練ではありません。
我慢を強いるものでも、理想を押しつけるものでもありません。
目的はひとつ。
この家庭、この親、この子に合った関わり方を、一緒に整理すること。
それだけです。
なぜ療育だけでは足りないのか
「療育には通っているのに、家では全然うまくいかない」
これは、現場で本当によく聞く言葉です。
理由はとてもシンプルです。
子どもが一番長く過ごす場所は、家庭だから。
どれだけ良い支援を受けていても、
家庭での関わり方が整理されていなければ、変化は定着しません。
同じ支援を受けていても、
家庭での対応が整理されているケースと、
その場しのぎになっているケースでは、数か月後の姿がはっきり分かれます。
幼児期のペアトレが「間に合う」理由
幼児期のペアレントトレーニングが有効なのは、
子どもが素直だからでも、親が頑張れるからでもありません。
行動のクセが、まだ固まりきっていないからです。
年齢が上がるにつれて、
本人の自我
失敗体験の積み重ね
周囲との関係性
さまざまな要素が絡み合い、関わりを変えるにはより大きなエネルギーが必要になります。
幼児期は、ほんの少し関わりを整えるだけで済む。
だからこそ、今が大切なのです。
ペアトレの本質は「正解を教えること」ではない
ペアレントトレーニングは、正解を増やす場ではありません。
なぜこの場面で困るのか
どこですれ違っているのか
何を減らせば、何が増えるのか
それを一緒に整理していく作業です。
多くの場合、親はもう十分に頑張っています。
必要なのは、努力ではなく整理です。
「様子を見る」から「関わりを整える」へ
様子を見ること自体が悪いわけではありません。
問題なのは、「何もせずに様子を見る」ことです。
幼児期は、子どもを変える時期ではなく、
関わり方を設計し直せる時期です。
もし今、
「このままでいいのかな」
「ずっと同じことで悩んでいる」
そんな感覚があるなら。
それは、動き出すサインかもしれません。
ひとりで抱えなくていい場所があります
「どこに相談したらいいかわからない」
「療育は通っているけれど、これで合っているのか不安」
「家庭での関わり方を、誰かと一緒に整理したい」
そんな思いを、ひとりで抱える必要はありません。
療育センターエコルドでは、
子どもへの支援だけでなく、保護者の困りごとを一緒に整理する相談支援を行っています。
今、何につまずいているのか。
何から手をつけるとラクになるのか。
家庭で無理なく続けられる関わり方は何か。
正解を押しつけるのではなく、
その家庭に合った形を一緒に考えることを大切にしています。
様子を見るか、関わりを整えるか。
もし迷っているなら、一度話してみるだけでも構いません。
「相談してよかった」と思える時間になるよう、
現場を知るスタッフが、丁寧にお話を伺います。