Nバック課題ってなに?実行機能と学習能力の関係を探る

こんにちは!「Nバック課題」という言葉を聞いたことはありますか?これは、ワーキングメモリ(作業記憶)を鍛えるための認知課題の一つで、注意力や実行機能の向上にも役立つとされています。
近年、学習能力の向上や発達支援の分野でも注目されているNバック課題ですが、「具体的にどんなもの?」「子どもの発達にどう関係するの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
今回は、Nバック課題の仕組みと、実行機能や学習能力との関係について詳しく解説します!
Nバック課題とは?
Nバック課題は、**ワーキングメモリ(作業記憶)**の負荷をかけながら、記憶を更新し続ける能力を測る課題です。
基本的なルール(Nバック課題のやり方)
Nバック課題では、表示される文字や数字、図形などを記憶しながら、”N”個前に出たものを思い出して答えるというトレーニングを行います。
例えば、2バック課題なら、「2つ前に出てきたもの」を思い出して答えます。
✔ 例:「2バック課題」
表示される順番:
A → B → C → A → D → C
答えるべきもの:(2つ前のものを答える)
- 「C」のとき → 「A」と答える(2つ前が「A」)
- 「D」のとき → 「C」と答える(2つ前が「C」)
✔ 「3バック課題」の場合
- 「3つ前のもの」を思い出して答える。
- 2バックよりさらに記憶の負荷が大きく、ワーキングメモリのトレーニング効果が高い。
このように、一定数前に出てきたものを記憶し、答えることで、ワーキングメモリを鍛えるのがNバック課題のポイントです!
Nバック課題が求める「実行機能」とは?
「実行機能(エグゼクティブ・ファンクション)」とは、目標に向かって行動を制御するための脳の働きです。主に、ワーキングメモリ・抑制制御・認知の柔軟性の3つが含まれます。
✔ ワーキングメモリ(作業記憶)
→ 一時的に情報を保持し、それを操作する能力(例:電話番号を覚えて書き写す)。
✔ 抑制制御(インヒビション)
→ 不要な情報を抑え、適切な判断をする能力(例:テスト中に周囲の雑音を無視して集中する)。
✔ 認知の柔軟性(シフティング)
→ 状況の変化に応じて、行動や考え方を切り替える能力(例:新しいルールに適応する)。
Nバック課題は、このうち特にワーキングメモリと抑制制御を鍛えるのに効果的だとされています。
Nバック課題と学習能力の関係
ワーキングメモリや実行機能は、学習や日常生活のさまざまな場面で重要な役割を果たします。
① 読み書き・計算のスキル向上
ワーキングメモリは、読解や計算の過程で必要な情報を一時的に保持するのに不可欠です。例えば、
✔ 読解力の向上:「文章の内容を記憶しながら、前後の文脈を理解する」
✔ 計算力の向上:「繰り上がりや繰り下がりを考えながら計算する」
Nバック課題を継続的に行うことで、数学や国語の学習効果が高まるという研究もあります。
② 注意力や集中力の向上
授業中に「気が散る」「指示を忘れる」といったことが多い子どもには、ワーキングメモリの強化が効果的とされています。
✔ 学校場面での例:
- 「先生の話を聞いて、指示を覚えて行動する」
- 「板書を見て、内容をノートにまとめる」
③ 問題解決能力と柔軟な思考力の向上
ワーキングメモリは、問題解決や創造的思考にも大きく関係しています。Nバック課題によって情報を素早く処理し、論理的に考えるスキルが鍛えられるため、特に発達障害児の支援として注目されています。
家庭や学校でNバック課題を活用するには?
① 日本語で利用できるNバック課題アプリを活用
✔ 日本語対応のNバック課題アプリ
- 「Nバックトレーニング」(iOS / Android)
- 「Brain+ 記憶力ゲーム」(iOS / Android)
- 「記憶力トレーニング」(iOS)
日本語対応のアプリを活用することで、子どもでも理解しやすく、取り組みやすい環境を作ることができます!
② 日常生活の中でのワーキングメモリ強化
✔ 簡単にできるトレーニング例
- 「買い物リストを覚えて、お店で思い出す」
- 「しりとりをしながら、前の単語を2つ覚えておく」
- 「簡単な暗算(2+3+5=?)を繰り返す」
おわりに
Nバック課題は、ワーキングメモリを鍛え、学習能力や実行機能の向上につながる効果が期待されています。特に、発達障害児や学習の苦手な子どもへの支援としても有効なアプローチとして注目されています。
保護者向けのご案内
大阪府池田市の療育センターエコルドでは、子どもの発達に応じたワーキングメモリトレーニングや学習支援を行っています。お子さんの記憶力や集中力の向上についてお悩みがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!