子どもの謝り方の発達:謝罪の意味を理解し、伝える力を育む

「うちの子、トラブルになっても謝らない…」
「謝るように言っても、なかなか素直に言えない」
子どもにとって、「謝る」という行為は、思った以上に難しいものです。特に発達障害のあるお子さんの場合、謝罪の意味を理解することや、適切な謝り方を身につけるのが難しいこともあります。
では、子どもが謝罪を学ぶプロセスとはどのようなものなのか? また、どうすれば「言わされる謝罪」ではなく、「自分の気持ちを込めた謝罪」ができるようになるのか?
今回は、子どもの謝罪の発達段階と、謝る力を育むためのサポート方法について詳しく解説します!
なぜ子どもは謝るのが難しいのか?
子どもがすぐに謝れないのは、単なる「わがまま」や「意地」ではありません。
謝るためには、次のようなスキルが必要になります。
✔ 「自分が相手に迷惑をかけた」と理解する力
✔ 相手の気持ちを想像する力
✔ 言葉で気持ちを表現する力
特に幼児期や発達障害のある子どもの場合、これらのスキルがまだ十分に育っていないため、うまく謝ることができないのです。
では、謝罪ができるようになるまでの成長過程を見てみましょう。
子どもの謝罪の発達段階
子どもが「謝る」という行為を理解し、実践するまでには、発達段階ごとのステップがあります。
① 1〜2歳:模倣の段階(謝る意味は分からない)
✔ 特徴
- まだ謝罪の意味は理解していない
- 「ごめんなさい」と言っても、その言葉の本質は分かっていない
- 大人の真似をして、謝る仕草をすることがある
➡ サポート方法
- 無理に謝らせるのではなく、大人が「ごめんなさいね」とお手本を見せる
- 子どもが困ったときに「〇〇くん、ごめんなさいって言うんだよ」と優しく促す
② 3〜4歳:ルールとしての謝罪(形式的な謝罪)
✔ 特徴
- 「ごめんなさい」を言う場面があることは理解し始める
- しかし、「言わなければ怒られる」という認識が強い
- 本心から謝っているわけではなく、「とりあえず謝る」という行動になりがち
➡ サポート方法
- 「ごめんなさい」と言った後に、「どうして謝ったの?」と聞き、少しずつ意味を理解できるようにする
- 相手の気持ちを代弁し、「〇〇くん、びっくりしちゃったね」など、感情を言葉で補う
③ 5〜6歳:謝罪の意味を理解し始める(でもまだ苦手)
✔ 特徴
- 失敗や迷惑をかけることがあると、「謝るべき」と分かり始める
- しかし、「恥ずかしい」「怒られたくない」などの理由で、素直に謝れないこともある
➡ サポート方法
- 「謝ることは悪いことではなく、いい関係を作るために大切」と伝える
- 子どもが謝るのをためらったときは、「一緒に謝ろうか」とサポートする
- すぐに言えなかった場合も、「後からでもいいんだよ」と伝え、謝る機会を残しておく
④ 小学生以降:本当の意味での謝罪ができるようになる
✔ 特徴
- 「相手がどう感じるか」を考えられるようになる
- 「自分の行動が相手にどんな影響を与えたか」を理解し始める
- しかし、プライドや恥ずかしさから、まだ謝りにくいこともある
➡ サポート方法
- 「〇〇くん、さっきのこと、どう思った?」と自分の気持ちを振り返らせる
- どうすれば次は同じことを繰り返さないか、一緒に考える
- 「謝ることで気持ちがスッキリする」という体験を積ませる
謝る力を育むためのサポート方法
「ごめんなさい」の前に「相手がどうなったか」を理解する練習をする
自閉症スペクトラム(ASD)のある子どもは、相手の気持ちを推測することが難しいことがあります。そのため、「相手がどうなったか」という具体的な事実から学ぶ方法が効果的です。
✔ **「〇〇くん、おもちゃがなくなったね」「〇〇くん、転んじゃったね」**と事実を伝える
✔ 絵や写真を使い、「この子はどうなった?」と視覚的に学ぶ
✔ 「こういうときはこうする」と具体的な行動ルールを決める(例:「おもちゃを取る前に、『貸して』と言おう」)
このように、謝る前に「何が起こったのか」に気づかせることが、謝罪の理解につながります。
おわりに
子どもが謝ることができないのは、「悪い子だから」ではなく、まだ謝罪の意味や相手の気持ちを理解するスキルが未熟なだけです。
無理に謝らせるのではなく、少しずつ謝罪の大切さを伝え、実際の経験を通して学んでいくことが大切です。
子どもが「自分から謝れる力」を育めるように、家庭や学校でできることから始めてみましょう!
保護者の方へのご案内
大阪府池田市の療育センターエコルドでは、子どもの社会性やコミュニケーション力を育むプログラムを提供しています。お子さんの謝罪や対人関係にお悩みの方は、お気軽にご相談ください!