語彙力の発達と学習の関係:発達障害児への効果的な指導法

「うちの子、言葉を知っているはずなのに、うまく伝えられない…」
「読んでいる文章の意味を理解できないみたい…」
語彙力は、言葉の理解だけでなく、学習全体の基盤となる重要な力です。特に発達障害のあるお子さんは、語彙の習得に困難を感じやすく、適切な支援が必要になります。
では、語彙力が学習にどのような影響を与えるのか? そして、発達障害児にとってどのような指導法が効果的なのか?
今回は、語彙力の発達と学習の関係、そして効果的な支援方法について詳しく解説します!
語彙力とは?なぜ学習に影響するのか
語彙力とは、言葉を知っているだけでなく、その意味を理解し、使いこなす力のことです。
語彙力が学習に影響するポイント
✔ 文章の理解力につながる
→ 語彙が少ないと、読解問題が苦手になりやすい
✔ 表現力が向上する
→ 伝えたいことを適切に表現できるようになり、作文や口頭発表がスムーズになる
✔ 問題文の意図を正しく把握できる
→ 数学や理科でも、指示語や専門用語を理解できるかどうかで正答率が変わる
発達障害のあるお子さんの場合、語彙のインプット(聞く・読む)とアウトプット(話す・書く)に偏りが生じることがあります。そのため、語彙を増やすだけでなく、どのように使うかを学ぶ支援が重要になります。
発達障害児の語彙習得における特徴と困りごと
発達障害のあるお子さんは、語彙の習得において以下のような特徴や困りごとを抱えることがあります。
① 語彙の習得スピードが遅い(語彙の獲得が難しい)
✔ 特徴
- 言葉の意味を覚えるのに時間がかかる
- 具体的な名詞(犬、車など)は覚えられるが、抽象的な言葉(気持ち、考える、理由など)は理解しにくい
→ 語彙を視覚化して学べる方法を取り入れるのが効果的!
② ことばの使い方に偏りがある(語彙の応用が苦手)
✔ 特徴
- 知っている言葉でも、場面に応じた使い方ができない
- 同じ言葉ばかり繰り返す(「すごい」「やばい」など簡単な表現に頼る)
- 文脈を理解しにくく、言葉のニュアンスを捉えるのが難しい
→ 言葉の使い方を、実際の会話の中で練習することが重要!
③ 語彙のアウトプット(話す・書く)が苦手
✔ 特徴
- 頭の中で考えていることを、言葉にするのが難しい
- 「あれ、それ」などの指示語が多く、具体的な単語が出てこない
- 作文や発表が苦手で、言葉を文章にするのに時間がかかる
→ 言葉を引き出すサポートや、簡単な言葉からステップアップできる方法を取り入れると◎!
語彙力を伸ばすための効果的な指導法
発達障害児の語彙力を伸ばすには、視覚的に学ぶ・実際に使う機会を増やす・繰り返し学習することがポイントです!
① 視覚的に学べる環境を作る
✔ やり方
- イラストや写真を活用して言葉の意味を覚える(「りんご」の写真を見せながら、「赤い」「甘い」と関連語も一緒に学ぶ)
- フローチャートやマインドマップを使って、関連する言葉を整理する
- マンガや図解を活用して、語彙の使い方を理解する(「〜だから」「〜だけど」などの接続詞をイラストで示す)
② 言葉を使う機会を増やす(アウトプットを意識!)
✔ やり方
- 「今日はどんなことがあった?」と質問し、子どもが話す機会を作る
- カードゲームやロールプレイを活用し、楽しく言葉を使う練習をする(しりとり、言葉を当てるクイズなど)
- 作文や日記を書く習慣をつける(短い文章から始め、徐々に長くする)
③ 言葉の意味を体験的に理解する(経験を通じて学ぶ)
✔ やり方
- 「甘い」「冷たい」「柔らかい」などの言葉を、実際の食べ物や物を触りながら学ぶ
- お出かけや体験を通じて、新しい言葉を学ぶ(動物園で「草食動物」「肉食動物」を覚える など)
- 本を読んだ後に「この言葉はどういう意味?」と一緒に考える
④ 繰り返し学習で定着を図る
✔ やり方
- 同じ言葉を異なる文脈で何度も使う(例:「大きい」という言葉を「大きな犬」「大きな家」など違う使い方で繰り返す)
- 「言葉の仲間」を意識して学ぶ(例:「速い」→「俊足」「急ぐ」「素早い」など)
- 毎日少しずつ、新しい言葉を学ぶ時間を作る(朝の会話やお風呂の時間を活用!)
おわりに
語彙力は、単に言葉を知るだけではなく、使いこなすことが大切です。
発達障害のある子どもは、言葉の習得に苦手意識を持ちやすいため、視覚的に学ぶ・実際に使う・繰り返すことを意識しながら、楽しく語彙を増やしていきましょう!
保護者の方へのご案内
大阪府池田市の療育センターエコルドでは、語彙力の発達をサポートするプログラムを提供しています。お子さんの言葉の理解や表現にお悩みの方は、お気軽にご相談ください!