教室で静かに座っていられない…その背景にある「見えにくい困難」とは?

「授業中に落ち着きがなく、すぐ立ち歩いてしまう…」
「座っているのに、いつも体をゆらゆら動かしている…」
「何度注意しても、じっとしていられない…」
そんなお子さんに悩む保護者や先生は多いのではないでしょうか?
「わがままなのかな?」「しつけが足りない?」と思われがちですが、実はそこには「見えにくい困難」が隠れていることがあります。
今回は、「教室で静かに座っていられない」お子さんの背景にある理由や、その支援方法についてわかりやすく解説します。
「静かに座っていられない」は努力不足ではない
「集中しなさい!」「動かないで!」と声をかけることが多くなる場面ですが、子ども自身も「座っていなければならない」とわかっていることがほとんどです。
それでもじっとしていられないのは、「本人の意志や努力」では解決できない困難が背景にあるからです。
背景にある「見えにくい困難」とは?
① 感覚統合の問題(感覚過敏・鈍麻)
感覚統合とは、視覚・聴覚・触覚・前庭覚(バランス)などの情報を整理して、体をコントロールする力です。
✔ 椅子の座面が硬い感覚が気になってしまう
✔ 周囲の音や気配が気になって集中できない
✔ じっとしていると、体の感覚が鈍くなり不安
など、感覚の過敏・鈍麻によって座り続けることが難しくなります。
② 注意欠如・多動性(ADHD)の傾向
✔ 目の前の刺激にすぐ反応してしまう
✔ 自分の行動を制御するのが難しい
✔ 待つことが苦手
といった特徴があり、座っている間にじっと我慢する力(抑制機能)がうまく働きません。
③ 姿勢保持の困難(体幹の弱さ)
✔ 姿勢を保つための筋力が弱い
✔ 長時間同じ姿勢で座ると疲れてしまう
その結果、姿勢が崩れてしまったり、体を揺らしたり、椅子から立ち上がってしまうことがあります。
④ 実行機能の弱さ
「何をしているべきか」を頭の中で整理し、行動をコントロールする力が弱いため、
✔ 今は座って話を聞く時間、という切り替えが難しい
✔ 自分の行動を客観的に見直すのが苦手
となり、結果として「落ち着きがない」と見られてしまいます。
学校や家庭でできるサポート
「静かにしなさい」「動かないで」と声をかけ続けるよりも、環境や関わり方を工夫することが大切です。
✔ 環境の工夫
- クッションやバランスボール型の椅子を使って、体幹をサポート
- パーテーションや視覚的な仕切りで、周囲の刺激を減らす
- 手を使っても問題のない「ハンドスピナー」「粘土」「小さなボール」などを使い、手の感覚を満たすことで体の動きを抑える
✔ 見通しを持たせる
「あと◯分でおしまい」「このプリントが終わったら動いてOK」など、ゴールが見えるように工夫します。
タイムタイマーなど視覚的に時間を示すツールはとても有効です。
✔ 体を動かす時間を意図的に作る
授業中ずっと座っているのは難しくても、
✔ プリントを配る役割をお願いする
✔ 掃除や片付けの手伝いをしてもらう
など、動けるタイミングを意識的に作ってあげることで、その後の座位保持がしやすくなります。
✔ ポジティブなフィードバック
「◯分座っていられたね!」「お話を最後まで聞けたね!」と、できたことを具体的に褒めましょう。
「動かなかった」ではなく「先生の話を最後まで聞いていたね!」など、行動の目的を意識させる声かけがポイントです。
家庭でできるサポート
家庭でも、
✔ テーブルと椅子の高さを調整する
✔ 姿勢保持を意識した遊び(バランスボールや体幹トレーニング)を取り入れる
✔ 「座って遊ぶ」「立って遊ぶ」など姿勢を変えるタイミングを作る
などの工夫が効果的です。
早めの相談で困り感を減らそう!
「そのうち落ち着くだろう」と思っているうちに、
✔ 「怒られてばかり」→自己肯定感の低下
✔ 学校がつらい→不登校や二次障害
などに発展してしまうことも。
早期の相談や専門機関の支援を受けることで、お子さんも家庭もぐっと楽になります。
保育所等訪問支援や療育機関では、学校と連携しながら環境調整や支援方法のアドバイスを行っています。
まとめ
教室で「静かに座っていられない」ことは、決して本人の努力不足ではありません。
その背景にある「見えにくい困難」を理解し、
✔ 環境の調整
✔ 支援の工夫
✔ ポジティブな関わり
を通じて、無理なく学びの場を楽しめるようにサポートしていきましょう。
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