自分で考えて動ける子を育てる:発達障害児の主体性と自律性を育む支援とは?

「どうして毎朝、声をかけないと動けないの?」
「言われたことはできるけど、自分からはやろうとしない…」
「進級や卒園が近づいてきて、将来が心配…」
そんなふうに感じたことはありませんか?
今回は、「自分で考えて行動する力」=主体性・自律性をテーマに、発達障害やグレーゾーンのあるお子さんに向けた支援のポイントをお伝えします。
幼児期からの関わりが、将来の生活力・社会性・就労力にもつながっていきます。
主体性と自律性とは?
簡単に言えば、
▶︎ 主体性=自分の意思で動く力
▶︎ 自律性=自分を律して行動する力
「今何をすべきか?」「どうすればいいか?」を考え、指示がなくても自ら動ける力は、成長とともに求められるようになります。
幼児期には「次なにする?」「お片付けしよう」と言われて動くことがほとんどですが、小学校以降は「自分で気づいて動く」ことが前提とされます。
でも実は、発達障害のあるお子さんにとって、この「主体性」と「自律性」を育むことは簡単ではないのです。
発達障害の子どもにとっての「見えにくい困難」
▶︎ 実行機能の弱さ
▶︎ 心の理論(他者の視点理解)の未熟さ
▶︎ 予測や判断の苦手さ
▶︎ 環境の変化に対する不安の強さ
これらの特性が、「指示がないと動けない」「自分で決められない」「やる気がないように見える」などの行動につながっていることがあります。
つまり、「自分で動けない」のではなく、「自分で動くための情報処理が難しい」のです。
幼児期からできる!主体性と自律性を育てる3つの支援
①「選択」を増やす関わり
「どっちがいい?」「今日は何から始めたい?」
というように、小さな選択肢を与えることで、子どもが「自分で決めた」経験を積み重ねることができます。
ポイントは「全部自分で考えさせる」のではなく、「選べる環境をつくる」こと。
②「見通し」と「振り返り」をセットにする
「このあと何があるのか」「何をすればいいのか」がわかると、安心して自分から行動に移せます。
例えば、
✔︎ スケジュールカード
✔︎ タイマーの活用
✔︎ 終わったらごほうびシール
などの視覚的サポートが有効です。
さらに、「どうだった?」「次はどうしたい?」と振り返りをすることで、自分の行動を見つめ直す力=メタ認知も育ちます。
③「やってもらう」から「一緒にやる」へ
何でも大人が先回りして用意してしまうと、子どもは「やってもらうのが当たり前」になってしまいます。
たとえば、
✔︎ 一緒に持ち物を準備する
✔︎ おやつを一緒に並べてみる
✔︎ スケジュールの順番を一緒に並び替える
など、「一緒にする」関わりを増やすことで、少しずつ「自分でやる」力が育っていきます。
家庭・療育・教育現場でできること
✔︎ 家庭での役割を持たせる(お箸を並べる・植物の水やりなど)
✔︎ 療育で「選ぶ・決める・振り返る」経験を積み重ねる
✔︎ 園や学校での取り組みと連携する(連絡帳・面談・訪問支援の活用)
「自分で考えて動く」ことは、実は一朝一夕では身につきません。
時間と経験の積み重ねが、将来の「自立」につながります。
まとめ
「できない」ではなく、「経験が足りない」だけ。
発達障害のあるお子さんの中にも、素晴らしい意欲や発想を持っている子はたくさんいます。
✔︎ 小さな選択と成功体験の積み重ね
✔︎ 自分の気持ちや考えを言葉にできる環境
✔︎ 「やってもらう」から「一緒にやる」へ
こうした日々の支援が、将来「自分で考えて動ける」子どもたちを育てていきます。
保護者の方へのご案内
大阪府池田市にある療育センターエコルドでは、乳幼児期を専門とした児童発達支援を中心に、1日20名の乳幼児に対して、集団活動や個別支援を通じて、専門性ある早期療育を提供しています。
また、送迎も施設から30分圏内を目安に実施しています。
池田市・箕面市・豊中市・吹田市の一部地域で、早期療育が必要なお子さんの保護者の方は、ポータルサイトの療育センターエコルドにお気軽にお問い合わせください。