どうして嫌いになるととことん嫌いになってしまうのか?認知の偏りと子どもの感じ方

「一度イヤだと感じたら、もう絶対にやりたくない」
「〇〇ちゃんにちょっと注意されただけで“あの子きらい!”」
「その出来事だけで、すべてを決めつけてしまう…」
そんなお子さんの様子に、「ちょっと極端すぎるんじゃない?」と思ったことはありませんか?
実は、こうした「嫌いがとことんになってしまう」背景には、子どもならではの“認知の偏り”が関係していることがあります。
今回はその理由と、保護者としてできる対応についてお伝えします。
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■「認知の偏り」ってなに?
「認知」とは、私たちが物事を見たり、感じたり、判断したりする“心のフィルター”のようなものです。
子どもはこのフィルターの使い方がまだ発展途上のため、ひとつの出来事を「全部イヤ!」「あの子は絶対わるい人!」と一面的に捉えやすい傾向があります。
こうした極端な受け止め方は「認知の偏り(認知の歪み)」と呼ばれ、
☑ 白黒思考(0か100かでしか考えられない)
☑ 過度な一般化(ひとつの経験をすべてに当てはめる)
☑ 感情的な決めつけ(イヤな気持ち=全部悪い)
などのかたちで現れます。
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■なぜ子どもは“極端なとらえ方”をしてしまうのか?
子どもがこのような思考になりやすいのには、いくつかの理由があります。
① 発達段階の問題
まだ論理的に考える力(抽象的思考)が未熟で、「部分」と「全体」の区別が難しい年齢では、経験した感情そのものが現実全体を支配してしまいやすくなります。
② 感情の未分化
自分の気持ちを言葉にする力が発達途中のため、「モヤモヤ」や「イライラ」などの複雑な感情を、「嫌い」という一言にまとめてしまう傾向があります。
③ 安全・安心への敏感さ
発達障害や感覚過敏などの特性を持つお子さんでは、環境の変化や人間関係に対してより敏感なため、「イヤ」の感覚も強烈になりやすいのです。
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■保護者ができる寄り添いのヒント
お子さんの「全部イヤ!」という気持ちに対して、大人ができることは、否定せず、広い視野で気づきを促すことです。
☑「そう感じたんだね」とまずは共感
→ いきなり「そんなことないよ!」と否定せず、まずは受け止めることが安心につながります。
☑「どんなところがイヤだった?」と具体化する
→ 全体を一括りにする思考から、「何が」「どんなふうに」イヤだったのかを少しずつ整理していきましょう。
☑ ポジティブな側面にも目を向ける言葉かけ
→「イヤなこともあったけど、少し楽しいこともあったかも?」と視点の転換を提案してみます。
☑ 自分の感じ方に気づく練習
→ 「きらいだと思っていたけど、本当は“怖かった”のかも?」など、感情の言語化を促すことも大切です。
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■認知の偏りは「守るための仕組み」でもある
一見すると“困った反応”に見える認知の偏りですが、実はその背景には「心を守る防衛反応」が隠れています。
嫌なことを「全部シャットアウト」することで、自分のこころのバランスを保とうとしているのです。
つまり、大人の役割は…
- 「偏ってるから直さなきゃ」と焦ることではなく、
- 「安心して感じられる・話せる環境」をつくることなのです。
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■まとめ
子どもが「嫌いになりすぎてしまう」とき、それは単なるワガママではなく、「世界をどう見ているか」「何を怖がっているか」といった“内面のメッセージ”でもあります。
☑ 認知の偏りは成長過程のひとつ
☑ 感情に寄り添いながら言葉にしていく関わりを
☑ 否定せず、少しずつ「広い見方」を育てていく
お子さんが「イヤな気持ち」も安全に表現できることが、安心と自信につながる第一歩です。
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■保護者の方へのご案内
大阪府池田市にある療育センターエコルドでは、乳幼児期を専門とする児童発達支援を中心に、1日20名の乳幼児に対して、集団活動や個別支援を通じて、専門性ある早期療育を提供しています。
また、送迎も施設から30分圏内を目安に実施しています。
池田市・箕面市・豊中市・吹田市の一部地域で、早期療育が必要なお子さんの保護者の方は、ポータルサイトの療育センターエコルドにお気軽にお問い合わせください。