発達の“ムラ”は個性のあらわれ? 子どもの成長を理解するための発達の“ギャップ”という視点

「年齢相応のことができているように見えるけれど、なぜか集団になるとトラブルが多い」
「話すのは上手なのに、相手の話を聞いていなかったり、指示が通らなかったりする」
「ある場面ではしっかり者なのに、別の場面では年齢より幼いように感じる」
こうした“ちぐはぐさ”や“ムラ”のある成長を目にして、戸惑いや不安を感じたことはありませんか?
今回は、子どもの発達を理解するうえで大切な「発達のギャップ」という視点から、子どもの“できない”をどう捉え直すかについて考えていきましょう。
発達は“なだらか”に進むとは限らない
「4歳になったら〇〇ができる」「就学前には△△を習得する」といった成長の目安は、子育てにおいて重要な指標ですが、実際の子どもたちの発達はその通りに進むとは限りません。
- 言葉は早くから達者なのに、身体を使った遊びが苦手
- 記憶力は抜群なのに、ルールのある遊びになると混乱する
- 勉強は得意でも、気持ちの切り替えや他者とのやりとりが苦手
このように、発達の領域ごとに“得意”と“不得意”の差がある状態を「発達のギャップ」と呼びます。
ギャップがある=発達障害、とは限らない
「ギャップがある=発達障害」というわけではありません。発達の凸凹は、どの子どもにも少なからずあるものです。
しかし、以下のような場合には、支援の視点が必要になることがあります。
- ギャップが生活や学習、人間関係に著しい困難をもたらしている
- 周囲とのトラブルが頻発している
- 本人が自己否定感や強いストレスを感じている
特に発達障害(ASDやADHDなど)のある子どもでは、知的発達が年齢相応かそれ以上であっても、社会性や感情調整の面で年齢より幼いといったギャップが見られやすく、周囲の期待とのズレから「できるのにやらない」「わざと困らせている」と誤解されやすいのが特徴です。
「行動」だけを見ると誤解が生まれる
例えば、集団活動でじっと座っていられない子どもがいたとします。
一見「落ち着きがない」と見えるかもしれませんが、背景には…
- 感覚過敏による不快感
- 空間認識やボディイメージの未成熟
- 注意の持続が困難な神経的要因
- 体幹の不安定さや姿勢保持の困難
など、身体的・神経発達的な要因が隠れている場合もあります。
このように「目に見える行動」の背景には、発達的な課題や情報処理の特性が存在する可能性があり、単なる“態度の問題”として片づけることは適切ではありません。
支援の出発点は「行動の背景を理解すること」
私たち大人が子どもを支援するとき、「できないこと」をただ補わせるのではなく、「なぜ難しいのか」「どの力が追いついていないのか」という視点を持つことが大切です。
✔︎「わざと」ではなく「まだ難しいのかも」
✔︎「困らせている」ではなく「困っている」
✔︎「年齢らしく」ではなく「その子らしく」
こうした見立てが、子どもの育ちに寄り添った支援につながっていきます。
療育で大切にしている“個別性”の視点
療育センターエコルドでは、集団活動や個別支援の中で、それぞれの子どもが持つ「強み」と「今は育ち途中の力」を丁寧に見立てながら、支援プログラムを組み立てています。
たとえば:
- 手先が不器用な子には道具の選び方や操作の工夫を
- 見通しを持ちにくい子にはスケジュールや構造化を
- 感情の調整が苦手な子には身体表現やSST(ソーシャルスキルトレーニング)を通じた学びを
発達のギャップを“個性”と捉え、「その子に合った伸ばし方」を見つけていくことが、長期的な自立と社会参加への第一歩です。
まとめ:ムラがある=「できない」ではない
子どもたちの発達には個人差があり、ギャップがあること自体は“問題”ではありません。
大切なのは、「どこに困りごとがあるのか」「どうサポートすれば力を発揮できるか」を見極め、周囲が柔軟に対応していくこと。
☑ 見た目の“できる・できない”にとらわれず
☑ 発達の“プロセス”として捉え
☑ 個々の特性に寄り添う支援を
そんなまなざしが、子どもたちの「自分らしく育つ力」を後押ししてくれるはずです。
■ 保護者の方へのご案内
大阪府池田市にある療育センターエコルドでは、乳幼児期を専門とする児童発達支援を中心に1日20名の乳幼児に対して、集団活動や個別支援を通じて、専門性ある早期療育を提供しています。
また、送迎も施設から30分圏内を目安に実施しています。
池田市・箕面市・豊中市・吹田市の一部地域で、早期療育が必要なお子さんの保護者の方は、ポータルサイトの療育センターエコルドにお気軽にお問い合わせください。