“何をしても飽きちゃう”子への関わり方:集中力を育む環境づくりとは?

「せっかく用意した遊びもすぐにやめてしまう」
「5分も座っていられない」
「とにかくあれこれ気が散って、落ち着かない…」
そんな“飽きっぽさ”にお悩みの保護者の方はいませんか?
実は、それは単なる「性格」ではなく、発達の特性や感覚の違いからくる「集中しにくさ」かもしれません。今回は、注意持続が難しい子どもや感覚探求型の子どもに対する発達支援的な関わり方をご紹介します。
「すぐに飽きる=やる気がない」ではない
子どもがすぐに飽きてしまうと、「わがまま」「やる気がない」と受け取られがちです。けれど、多くの場合それは…
- 注意を持続させる力(持続性注意)の弱さ
- 感覚刺激を求めやすい脳の特性(感覚探求傾向)
- 活動の選択肢が合っていない(難しすぎる/簡単すぎる)
- 興味を引く導入や環境設定の不足
といった“背景のある困難”なのです。
特にADHD傾向のある子や、ASDの中でも感覚探求が強いタイプの子は、静かな作業よりも動きのある刺激を好む傾向があり、結果として「落ち着きがない」「飽きっぽい」と捉えられてしまいます。
感覚探求型の子どもって?
感覚探求型の子どもは、視覚・聴覚・触覚などからの強い刺激を好みます。
✔ 触ったり叩いたりすることが多い
✔ クルクル回るものをずっと見ている
✔ 騒がしい場所や光るものに引き寄せられる
✔ 座って遊ぶより体を動かすことを好む
こうした子どもたちは、周囲から「落ち着かない」と見えがちですが、実は「自分の感覚を満たしたい」「必要な刺激を自分で調整している」行動であることも多いのです。
集中力を育てるためにできること
飽きっぽさを「直そう」とするのではなく、「集中できる条件を整える」ことで、子どもは本来の力を発揮しやすくなります。
☑ 短い時間でもOK!成功体験を重ねる
→「5分だけ集中できた!」という体験が、「次はもう少し頑張ってみよう」につながります。
☑ 活動の前後で「体を動かす」タイミングを作る
→感覚を満たす“ちょこっと運動”を入れると、その後の集中が持続しやすくなります。
☑ 興味のあることから始める
→子どもが「やりたい!」と感じた瞬間が集中の入り口です。導入の工夫がカギになります。
☑ 視覚的なサポートを活用する
→スケジュールや手順を「見える化」すると、次の行動への見通しがつき、気持ちが安定しやすくなります。
☑ 刺激の少ない環境でスタート
→テレビ・おもちゃ・人の声など、気が散る要素を減らしてあげましょう。
遊びの中で育てる“集中力の土台”
集中力は「我慢して座る力」ではなく、「面白い!やってみたい!」という好奇心から自然に引き出されるものです。
たとえば:
- ストップ&ゴーのある遊び(ジャンケン列車、イス取りゲーム)
- 順番を守るルール遊び(トランプ、すごろく)
- 手先を使った活動(シール貼り、ひも通し)
- 音やリズムに合わせる遊び(楽器あそび、手拍子)
など、短時間でも集中を繰り返す活動からスタートすることで、徐々に「取り組める時間」が伸びていきます。
保護者ができる心構え
- 飽きっぽさは「成長中のサイン」
- 比べずに、「その子の今」に目を向ける
- 叱るより「環境を整える」ことが先
- 集中できない原因を一緒に探すスタンスで
飽きっぽさ=困ったこと、ではなく「どんな刺激や関わりなら続けられるか?」を見つけていくプロセスが、子ども自身の自己調整力の発達にもつながります。
療育の現場では
療育センターエコルドでは、子どもの注意特性や感覚の傾向を丁寧に見立てながら、個々の「集中しやすい方法」を探る支援を行っています。
- 作業療法士による感覚統合の視点
- 集団活動での集中タイムの経験
- 遊びを通じて「自分で集中できた!」という実感を育てるプログラム
「やる気がない」ではなく、「どうしたらできるか?」の視点が、子どもたちの可能性を大きく広げてくれます。
まとめ
「何をしてもすぐ飽きちゃう…」と感じるときこそ、子どもの内側では「まだ言葉にならない困りごと」や「感覚のズレ」があるかもしれません。
☑ 飽きっぽさには、理由がある
☑ 環境と関わりの工夫で集中力は伸びていく
☑ 子どもが“夢中になれる瞬間”を見つけることが支援の第一歩
子どもが「できた!」「やりきれた!」という体験を重ねられるように、大人のまなざしと工夫が大切です。
【保護者の方へのご案内】
大阪府池田市にある療育センターエコルドでは、乳幼児期を専門とする児童発達支援を中心に、集団活動や個別支援を通じて、専門性ある早期療育を提供しています。
また、送迎も施設から30分圏内を目安に実施しています。
池田市・箕面市・豊中市・吹田市の一部地域で、早期療育が必要なお子さんの保護者の方は、ポータルサイトの療育センターエコルドにお気軽にお問い合わせください。