年齢別・発達段階別のGRITプログラム:ねばり強さは“育てられる力”!

「うちの子、ちょっと失敗しただけですぐ諦めてしまう…」
「頑張る力って、どうやったら育てられるの?」
そんな声を聞くことがあります。
最近よく耳にする“GRIT(グリット)”という言葉。これは「やり抜く力」や「粘り強さ」のことで、知識やIQだけでは測れない“非認知能力”の一つです。
今回は、この「GRIT」を年齢や発達段階に合わせて、どのように育てていくことができるのかを、保護者の皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
GRITってなに?
GRITとは、「やり抜く力」や「粘り強さ」「継続力」と訳されます。
心理学者アンジェラ・ダックワース博士が提唱した概念で、「目標に向かって情熱を持ち、困難があっても努力を続ける力」を指します。
GRITは以下のような要素で構成されています:
- 持続的な努力(継続する力)
- 困難を乗り越える回復力(レジリエンス)
- 目標への情熱(やる気・モチベーション)
- 自己調整(感情や行動のコントロール)
IQや学力よりも、GRITのほうが人生の成功に影響すると言われるほど、重要な非認知能力のひとつなのです。
GRITは、年齢や発達段階に応じて育てられる
「生まれつきの性格だから仕方ないのでは?」と思われがちなGRITですが、実は環境や関わり方によって十分育てることができます。
ここでは、年齢別・発達段階別に分けて、GRITを育てるための関わり方のヒントをご紹介します。
幼児期(2〜6歳)
〜まずは「安心して挑戦する」体験を〜
この時期は、粘り強さというよりも、「やってみよう」「繰り返してみよう」という“好奇心”と“安心感”を育てる時期です。
☑「できたね!」をしっかり伝える(達成感の共有)
☑ 同じ遊びを繰り返すことを大切に(継続する感覚)
☑ 失敗しても笑って受け止める(失敗=ダメじゃない)
☑ 少しだけ背伸びした課題を設定する(チャレンジの導入)
「やってみたい」「もう一回やってみる」が自然に出てくるような関わり方がポイントです。
学齢期(小学校低学年)
〜「頑張ることがカッコいい」と思えるように〜
学校生活が始まり、評価される経験も増えてきます。
この時期は、目標を立てて取り組む体験と、「うまくいかなくても続ける」姿勢を学ぶチャンスです。
☑ 短期目標とごほうび(ゲーム感覚で)を活用する
☑ 「努力の過程」を認める(結果ではなくプロセスをほめる)
☑ できたことを振り返る(自信の積み重ね)
☑ 少しだけ難しいことに挑戦できる環境づくり
自分で達成した経験が「頑張ってよかった」という自己効力感につながります。
学齢期(小学校高学年〜思春期)
〜「投げ出さない理由」を自分で見つけられるように〜
この時期になると、「なんで頑張らなきゃいけないの?」という問いを持ち始める子もいます。
☑ 「どうしたら続けられるかな?」と一緒に考える(自分で工夫)
☑ モデルとなる大人の姿を見せる(親や先生の姿勢が重要)
☑ 失敗を共有する(「失敗してもいいんだ」と思える)
☑ 仲間と協力して取り組む(社会性×GRIT)
この頃は、自分で納得して行動する経験を増やすことが、将来の自己調整力につながっていきます。
発達に特性のある子どもにとってのGRIT
発達障害やグレーゾーンの特性をもつお子さんにとって、GRITを育てることは「無理に頑張らせること」ではありません。
むしろ…
✔︎ その子の「得意」「好き」から入る
✔︎「頑張れ」ではなく「ここまでやれたね」と認める
✔︎ 小さな成功体験を積み重ねる
✔︎ 無理なく続けられる「仕組み」をつくる
など、その子の特性に合わせたアプローチが大切です。
「ねばり強さ」は「自己信頼感」から生まれます。
まとめ
GRIT(やり抜く力)は、特別な子だけが持っているわけではなく、日々の生活や関わりの中でじわじわと育つ力です。
☑「失敗しても大丈夫」と思える経験を
☑「やってみようかな」と思える環境を
☑「できた!」と実感できる関わりを
子どもたちが「自分にもできる」「続けるって気持ちいい」と思える体験を重ねていけるよう、年齢や発達段階に合わせたGRITの育て方を意識してみましょう。