“なんでも嫌って言う”子の気持ちとは?選択の自由と安心の関係

「今日はどっちの服にする?」
「このおやつとこのおやつ、どっちがいい?」
「〇〇公園と△△公園、どっちに行きたい?」
そんな風に子どもの意見を聞いたとき、
「どっちもイヤ!」「何でもイヤ!」と返されてしまって困った経験はありませんか?
「わがままなのかな?」「反抗期?」と感じてしまいがちですが、実はその背景には「こだわり」や「選択することへの不安」が隠れていることがあります。
今回は、ASD(自閉スペクトラム症)傾向のある子どもに多く見られる「なんでも嫌」に込められた心の動きと、私たち大人ができるサポートのヒントをご紹介します。
「選ぶこと」が不安につながる理由
選択肢を与えることは、子どもに「自分で決める自由」を与える良い方法のひとつ。
でも、子どもによっては、それがかえってプレッシャーになってしまうことがあります。
ASD傾向の子どもには、以下のような特徴が見られやすいと言われています:
- 予定や結果が見通せないことに強い不安を感じる
- 自分の中の「正解」がないと動きにくい
- 失敗を極端に避けようとする(完璧主義傾向)
- 選んだ後に「本当にこれでよかったのか」と悩んでしまう
そのため、「選ぶ」という行為そのものが大きなストレスになり、「イヤ」「どっちもやりたくない」という反応になってしまうことがあるのです。
「こだわり」は“安心”を守るための行動
一見するとわがままに見える「こだわり」や「拒否反応」も、子どもなりの“自己防衛”であることが多くあります。
- 自分が想定していた流れと違うことを提示されてパニックになる
- 初めてのもの、見通しが立たないものを極端に嫌がる
- 「選ぶ」ことで責任が生じると感じてしまう(間違えたくない)
これはASD特性のひとつでもあり、「自分にとって“予測できる・慣れている・安心できる”環境を守ろうとする行動」でもあります。
こんな時、どうしたらいい?対応のヒント
☑️「どっちでもいいよ」は実は不安
→「自分で選んで」と言われると、かえって困ることも。
選択肢は2つまでに絞り、「今日はAとB、どちらがやりやすい?」のように聞いてみましょう。
☑️「選ばない」ことを認める余白をつくる
→「どっちもイヤ」もOKとし、「じゃあ、またあとで決めようか」と安心できる逃げ道を用意します。
☑️ あらかじめ“選ぶ練習”をする
→ 選択を求められる場面を事前に伝えたり、ごっこ遊びなどで“選ぶ経験”を積み重ねておくことも大切です。
☑️ “選ぶ=安心”という成功体験を増やす
→ 小さな選択でも、「自分で決めてよかった」「失敗しても大丈夫だった」という経験を繰り返すことで、選ぶことへの抵抗感が少しずつやわらいでいきます。
療育の場での取り組み
療育の現場では、「選べる安心感」を大切にしながら、無理のない範囲で選択の経験を積めるようサポートしています。
- 活動の選択肢を視覚的に提示(写真や絵カード)
- 決まった順番で動けるようスケジュールを固定化
- 選んだことを肯定してもらえる安心感を育む
子どもにとって「自分で決める」「気持ちを伝える」「拒否する」という行動はすべて“発達のサイン”でもあります。
「選べない=未熟」ではなく、「選べないほど不安があるんだな」と受け止めることで、その子に合った支援のヒントが見えてきます。
まとめ:選択する自由と、選ばない自由
「何でもイヤ」と言う子どもの背景には、発達特性だけでなく、「安心を守りたい」「不安を避けたい」という切実な気持ちが隠れていることがあります。
だからこそ…
☑ 選ぶことが苦手な子には“選ばない自由”も認める
☑ 見通しや予測を“見える化”することで安心をサポート
☑ 「自分で決めてよかった」という体験を少しずつ積み重ねる
子どもが自分らしく選び、行動していけるようになるためには、「選択する力」と同時に、「選ばなくても大丈夫」という安心感も大切です。
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