「やだ!」に込められた気持ちを受けとめる:拒否反応のある子どもへのSST的アプローチ

「やだ!」「やらない!」「行きたくない!」
朝の支度や集団活動の場面で、こんな言葉に戸惑うことはありませんか?
発達特性のある子どもたちの中には、強い拒否反応を示すケースがあり、その背景には不安や見通しのなさ、過去の失敗体験などが隠れていることもあります。
今回は、拒否反応を示す子どもへのアプローチを「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」の視点から考えながら、日常生活に活かせる支援方法をご紹介します。
なぜ「やりたくない」が出るのか?
子どもが強い拒否反応を示す場面には、必ず「理由」があります。
✔︎ 何をするのかがわからなくて不安
✔︎ 過去にうまくできなかった経験がある
✔︎ 他の子の前で失敗したくない
✔︎ 感覚的に受け入れられない要素がある(音・におい・空間)
✔︎ 気持ちの切り替えが難しくて混乱している
つまり、行動だけを見て「わがまま」「反抗的」と決めつけるのではなく、子どもが何に対して“困っているのか”を読み取ることが大切です。
SSTとは? 拒否反応にどう活かせる?
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、子どもが社会の中で適切なふるまいや関係性を築けるように、スキルを「見える形で」教える支援法です。
拒否反応のある子に対しては、次のような形で活用できます:
☑ 見通しを持てるようにする(活動内容・時間・順番の提示)
☑ 行動の選択肢を提示し、自己決定を促す(「どっちがいい?」)
☑ 役割や状況をロールプレイで体験してみる
☑ 気持ちの伝え方や断り方のスクリプトを練習する(例:「ちょっと休みたい」)
「やらせる」のではなく、「一緒にやってみよう」「選んでいいんだよ」といった参加型・尊重型の支援が、安心につながります。
拒否反応への具体的アプローチ例
①「見える化」で安心感を高める
活動の内容や順番、ゴールを視覚的に示すことで、「何をするか分からない不安」を減らせます。写真カードやタイムタイマーも効果的です。
②「選べる状況」をつくる
「今やる?あとでやる?」「AとB、どっちがいい?」など、選択肢を与えることで、強制感を和らげ、自分で動けるきっかけになります。
③ ロールプレイで“体験しておく”
苦手な場面を事前に練習することで、「知っている」「経験がある」という安心感を育みます。SSTの基本構成(説明→モデリング→練習→振り返り)を取り入れてみましょう。
④ 小さな成功体験を積み重ねる
できたことを見逃さずにほめることで、「やってみたら大丈夫だった」という感覚を育てます。ハードルはできるだけ低く、段階的に。
⑤「断ってもいい」経験を許容する
いつも「やらせよう」とすると、子どもは構えてしまいます。「今日はパスしていいよ」「休んでもOK」を伝えることが、次の挑戦につながることも。
保護者としてできること
☑ 子どもの拒否に対して「否定」で返さず、「どうしたの?」と聞く余裕を
☑ 自分がコントロールできる場面があることを日常生活で増やす
☑ 「がんばっているのにできない」という内側の葛藤に目を向ける
☑ “その子のやり方”を一緒に探していく気持ちで関わる
子どもは、拒否という手段で「助けて」を表現しているのかもしれません。
まとめ
拒否反応は、子どもの心のSOS。
「やりたくない」という言葉の裏には、さまざまな感情や理由があります。
SST的アプローチを活かすことで、
✔︎ 子どもが安心して参加できる環境をつくる
✔︎ 「できるかも」という感覚を育てる
✔︎ 自分の気持ちを適切に伝える力を伸ばす
ことができます。
「無理にやらせる」のではなく、「できる方法で、できるタイミングで、一緒にやっていく」ことが、子どもの成長につながります。
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