「うちの子、友達とうまく遊べない…」

「ひとりで遊んでばかり…」「すぐトラブルになる…」と感じたら
「友達と遊べない」「すぐケンカになる」「ひとりぼっちが多い」
集団の中でうまく遊べない子どもを見ると、「どうしてうちの子は…」と悩んでしまう保護者も多いでしょう。
でも、それは「わがまま」や「性格の問題」ではなく、「遊び方がわからない」「気持ちをうまく表現できない」という“困りごと”かもしれません。
なぜ「うまく遊べない」のか?3つの原因
子どもがうまく遊べない背景には、以下のような理由が考えられます。
1. 社会性が未発達
- ルールを理解するのが苦手
- 自分の気持ちを言葉で伝えられない
- 相手の表情や気持ちを読み取れない
2. 感覚の過敏さや鈍さ
- 大きな声や騒がしい環境が苦手
- 他の子に触られると不快に感じる
- 自分が触れたくないもの(砂、泥)を避ける
3. 発達特性が影響している場合も
北海道大学 小泉雅彦氏(2016年)の研究によれば、発達特性(ASDやADHD)を持つ子どもは、「認知機能のアンバランス」から社会性の発達が遅れることがあります。
- ことばは早いのに、コミュニケーションが苦手
- 遊びの順番を待つことができない
- 特定の遊び(ブロック、パズル)に固執する
そのまま放置するとどうなる?
「うまく遊べない」をそのままにしてしまうと、子どもは次のような状況に陥ることがあります。
- 自己肯定感の低下:「僕なんて遊べない」「みんなに嫌われてる」
- 遊び方を学べない:何度やってもうまくいかないため、遊びを避けるようになる
- トラブルが増える:気持ちを伝えられず、手が出る、泣くことで自己表現しようとする
でも、大丈夫です。
社会性や遊び方は「学べる」ものです。
家庭での関わり方次第で、子どもは少しずつ「遊べる力」を育てていきます。
今日からできる!「遊べる力」を育てる3つのアプローチ
1. まずは「少人数」からスタート
いきなり大人数の中で遊ぶのはハードルが高すぎます。
- まずは親子での1対1の遊びから。
- 次にきょうだいや親しい友達との2〜3人での遊び。
- 最後にグループ遊びへと段階的に増やしていきましょう。
具体例:おままごとで練習
- 親子でおままごとをしながら、「どうぞ」「ありがとう」のやりとりを練習。
- 慣れてきたら、お友達も誘い「お客さん」「お店の人」と役割を決めてみる。
- 小さな成功体験が自信につながります。
2. 「視覚で伝える」遊びのルールを明確に
小さな子どもにとって、言葉だけでルールを理解するのは難しいもの。
絵カードや写真を使って、「何をどうするのか」を視覚で伝えてみましょう。
具体例:順番を守る遊び
- 例えば、すごろくのルールは「サイコロを振って進む」ことを絵で示す。
- 鬼ごっこは「タッチしたら交代」を絵で説明。
- 「待つ」ことが苦手な子には、「あと2回で○○ちゃんの番だよ」と数で教える。
視覚でわかることで、子どもは安心し、ルールを守りやすくなります。
3. 「気持ちの名前」を教える
「嫌だ!」「やだ!」と癇癪を起こす子どもには、「何が嫌だったの?」と尋ねても答えられないことがあります。
そんなときは、保護者が「気持ちの名前」を代弁してあげることが大切です。
具体例:喧嘩になったとき
- 「おもちゃを取られて悲しかったんだね」
- 「順番を待てなくてイライラしたんだね」
- 「一緒に遊びたかったけど、どうしていいかわからなかったんだね」
こうすることで、子どもは少しずつ自分の感情を認識し、言葉で伝えられるようになっていきます。
さらに一歩進んだサポート:大人も「遊び方」を見せる
子どもは遊びを「真似て」学びます。
でも、「遊び方」がわからない子は、どう真似していいかもわからないことがあります。
1. 大人が一緒に遊んで見本を見せる
- おままごとなら、「これどうぞ」「ありがとう」と、やり取りを見せる。
- ボール遊びなら、「パス!」「受けて!」と声をかけながら。
2. 「お友達の真似もOK」と伝える
「上手に遊んでるお友達を見てみようね」と伝えることで、「真似る」ことに抵抗がなくなります。
3. うまくできたら「できたね!」と声をかける
- 「今日はちゃんと順番を待てたね」
- 「おもちゃを貸してあげたんだね、優しい!」
- 「怒らずにお願いできたんだね」
小さな成功体験を積み重ねることで、子どもは少しずつ「遊べる力」を育てていきます。
まとめ:遊べる力は「少しずつ」育てるもの
子どもがうまく遊べないのは、「まだ育っていない」だけです。
そして、遊びは「育てることができる力」です。
- 少人数から始めて、少しずつステップアップ
- 視覚でわかりやすく、ルールを明確に
- 気持ちを代弁し、自分の感情を認識させる
保護者の関わり次第で、子どもは「遊ぶ力」を少しずつ伸ばしていきます。
「みんなと遊べるようになったね!」と笑顔で見守れる日を目指して、今日から少しずつ始めてみましょう。