感覚過敏で「着替えがイヤ!」どうしたらいい?

「この服はチクチクする!」「靴下が痛い!」と大泣き…
毎朝の着替えが大騒ぎ——。
服を着せようとすると「イヤ!」と泣き叫び、靴下を履かせても「痛い!」と拒否。
「ただのわがまま?」と感じることもありますが、それはもしかすると「感覚過敏」かもしれません。
感覚過敏とは?子どもが“感じすぎる”世界
感覚過敏とは、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚などの感覚が、通常よりも敏感に反応する状態です。
特に子どもは感覚が大人よりも繊細で、環境の刺激を強く感じることがあります。
たとえばこんなこと、ありませんか?
- 服のタグがチクチクして着られない
- 靴下のゴムが「きつい」「かゆい」と嫌がる
- 新しい服は硬くて嫌がるが、古いTシャツは安心して着られる
- 特定の素材(フリース、ニット)が「痛い」と感じる
- 寒いはずなのに「暑い!」と言って脱いでしまう
こうした行動は「わがまま」ではなく、子どもにとっては本当に不快な感覚なのです。
なぜ感覚過敏が起こるのか?
感覚過敏の背景には、「感覚処理の違い」があります。
感覚は脳で処理されますが、この処理が通常よりも過敏に反応してしまうため、
- 小さな刺激でも「痛い」「かゆい」と強く感じる
- 周りが気にしない音や光が気になってしまう
- 温度の変化を敏感に感じ取る
特に発達特性(ASD:自閉スペクトラム症、ADHD:注意欠如・多動症)を持つ子どもには、この感覚過敏がよく見られます。
また、感覚の敏感さは「一時的」であることも多く、成長とともに少しずつ改善されることもあります。
感覚過敏の子どもに「やってはいけない」NG対応
1. 無理やり着替えさせる
「いいから着なさい!」と押さえつけて着替えさせても、子どもは「不快感」を強く覚え、さらに着替えを嫌がるようになります。
2. 「我慢しなさい」「わがままだよ」
子どもにとっては本当に「痛い」「かゆい」と感じています。
それを否定されると、「伝わらない」「わかってもらえない」と感じ、親への信頼も薄れてしまうことがあります。
3. 「他の子は大丈夫なのに…」と比較する
兄弟や友達と比べることは、子どもにとって大きなストレスです。
「なんでこの子だけ?」と思うかもしれませんが、感覚はその子自身の特性です。
今日からできる!感覚過敏の子どもへの5つの対応方法
1. 「快適な素材」を選ぶ
- 無縫製(シームレス)のインナーを選ぶ
- タグが外せるもの、タグが外側にある服を選ぶ
- 綿100%など肌に優しい素材を優先
- 靴下はゴムがゆるめのもの、つま先に縫い目がないものを選ぶ
✅ 具体例:
- ユニクロの「エアリズムインナー」は無縫製で肌触りがよい
- ベビー服ブランドの「無縫製ソックス」も人気
2. 子どもと一緒に「選ぶ」
「これがいい」「こっちがイヤ」と自分で選ばせることで、着替えへの抵抗が減ります。
- ショッピングに一緒に行き、「触ってみて、気持ちいい?」と確認
- 自宅でも「今日はどの服にする?」と選択肢を与える
3. 服は「慣れたもの」を使う
新しい服は硬くて着心地が悪いことがあります。
- 最初は洗濯を繰り返し、柔らかくしてから着せる
- 「お気に入りの服」があれば、似た素材・形のものを選ぶ
4. 無理に「克服させよう」としない
感覚過敏は「感じ方の違い」であり、「訓練」で治るものではありません。
- 「少しずつ慣れるよ」と声をかけ、焦らず見守る
- 一度に全部着替えさせるのではなく、「まずはTシャツだけ」など、少しずつステップを踏む
✅ 具体例:冬でも「無理に厚着させない」
- 子どもが「暑い!」と感じるなら、薄手で重ね着できる服を選ぶ
- マフラーや手袋も「イヤ」と感じる場合は、ネックウォーマーやポケットで代用
5. 子どもの「感覚」を言葉で代弁してあげる
「チクチクして痛いね」「ゴムがきついんだね」「暑くてイヤなんだね」
保護者が子どもの不快感を代弁してあげることで、子どもは「わかってもらえた」と感じ、安心できます。
朝の着替えをスムーズにするための工夫
朝は時間がないため、感覚過敏の子どもにとってもプレッシャーが大きくなりがちです。
次のような工夫で、少しでもストレスを減らしましょう。
1. 前日の夜に着替えを準備
- 子どもと一緒に明日の服を選ぶ
- 「この服はイヤ!」があれば別のものに変更
2. 朝は「リラックスできる時間」をつくる
- 朝食後に5分だけ抱っこやハグをして「安心感」を与える
- 子どもが好きな音楽をかけながら着替えさせる
3. できたら「しっかりほめる」
- 「ちゃんと着替えられたね!」
- 「今日は泣かずに頑張ったね!」
- 小さな成功を重ねることで、「着替えもできるんだ」と自信がつきます。
まとめ:感覚過敏は「個性のひとつ」
感覚過敏は、子どもの「感じ方の違い」です。
無理に「慣れさせる」「我慢させる」ことは逆効果。
大切なのは、「どうしたら快適に過ごせるか」を一緒に考えることです。
- 子どもが「心地よい」と感じる素材を見つける
- 無理強いせず、少しずつ慣れさせる
- 「痛い」「かゆい」の気持ちを受け止める
感覚過敏は成長とともに変わることもあります。
焦らず、無理せず、子どもに寄り添いながら「心地よい毎日」を目指しましょう。