「食べムラがひどい…」偏食への正しい対応法

「白いご飯しか食べない…」「野菜は一切ダメ…」
「今日はパンしか食べない」「緑の野菜を見ると泣き出す」「肉は絶対に食べない」
偏食に悩む保護者は少なくありません。
周りの子が何でもパクパク食べている姿を見ると、「うちの子は大丈夫?」と不安になることもあるでしょう。
でも、偏食は決して「わがまま」ではなく、「感じ方の違い」や「食事への不安」が原因かもしれません。
偏食はなぜ起きるのか?3つの主な原因
1. 感覚過敏による「食べにくさ」
信州大学の本田秀夫教授の研究によれば、偏食は「感覚過敏」と密接に関係しています。
- 味覚の敏感さ:わずかな苦味や酸味を強く感じる
- 食感のこだわり:ザラザラ、ぬるぬる、カリカリなど、特定の食感を嫌がる
- においへの敏感さ:調理中のにおいで食べる前から拒否
2. 「見た目」や「色」へのこだわり
- 野菜の緑色が嫌いで、見るだけで食べない
- 「カレーは黄色」「ケチャップは赤」と決めつけている
- 形が変わると食べない(角切りは食べるが輪切りはNG)
3. 食事そのものへの「不安」
- 過去に喉に詰まらせた経験がトラウマに
- 食べること自体が「苦痛」と感じる(嚥下がうまくできない)
- 新しい食べ物に挑戦するのが怖い(新奇恐怖)
子どもの偏食は「好き嫌い」とは限らず、こうした「感じ方」や「過去の経験」によって引き起こされることがあります。
無理に「食べさせよう」とするのは逆効果です。
NG対応:偏食の子どもに「やってはいけない」3つのこと
1. 無理に「ひと口だけ食べなさい」と強制する
- 子どもは「食べること」がストレスになり、食事時間が苦痛に。
- 「食べなさい」と言われることで、逆に反発心が強くなります。
2. 「なんで食べないの?」「わがまま!」と怒る
- 感覚過敏や恐怖を抱えている子どもにとって、「怖い」「嫌だ」と感じているのに怒られることは大きなストレスです。
- 怒られることで、ますます食べ物に対して「嫌なイメージ」が強まります。
3. 他の子と比較する
- 「お兄ちゃんはちゃんと食べるのに」「みんなは食べてるよ」
- 比較されることで、「自分はダメなんだ」と感じ、自己肯定感が下がります。
今日からできる!無理なく偏食を改善する5つの方法
1. 食べられるものを「増やす」のではなく「広げる」
「この子はこれしか食べない…」と思うと不安になりますが、まずは「食べられるもの」を肯定しましょう。
- 白いご飯しか食べない→雑穀米やおにぎりにしてみる
- パンしか食べない→トーストにバターやジャムを塗る
- 麺しか食べない→うどん、ラーメン、パスタなどバリエーションを増やす
食べられる「種類」を増やすのではなく、「形」「味」「調理方法」を変えることで少しずつ広げていきます。
2. まずは「見た目」に慣れさせる
新しい食べ物は、いきなり「食べさせる」のではなく、まず「見る」「触る」ことから始めましょう。
- お皿の端にほんの少しだけ置く
- 一緒に料理をしながら、触ったりにおいを嗅いだりしてみる
- 「食べなくてもいいから見てみようね」と声をかける
✅ 具体例:ブロッコリーが苦手な場合
- 小さく刻んでカレーに入れる(見えない形に)
- チーズソースをかけて、味をマイルドに
- そのままではなく「スティック状」にしてディップをつけてみる
3. 好きな味に「プラスしてみる」
食べられる味に少しずつ新しい味を加えることで、安心して挑戦できます。
- トマトは「ケチャップ」なら食べられる→少しずつ生トマトを足してみる
- きゅうりは「マヨネーズ」でOK→他のドレッシングも試してみる
- 魚は「フライ」でOK→バター焼き、塩焼きも挑戦
少しずつ「新しい味」を加えていくことで、無理なく味覚が広がります。
4. 一緒に料理を楽しむ
調理の過程を見たり、触ったりすることで、食べ物に対する「安心感」が生まれます。
- 一緒に野菜を切る(もちろん安全に配慮して)
- 「これをおにぎりにしよう!」と子どもが握る役を担当
- 作った料理は「食べてみようか」と楽しい雰囲気で
「自分で作ったものは食べやすい」と感じることもあります。
5. 「食べない」ことを責めずに「食べられた!」をほめる
- 「今日は一口食べられたね!」
- 「スープだけでも飲めたんだね」
- 「これも食べられるようになったんだ!」
子どもが「食べられた」ことをしっかり認め、ほめることで、「また挑戦してみよう」と思えるようになります。
保護者も「楽しい食事」を心がけよう
偏食に悩むと、「食べさせなきゃ」「栄養が…」と焦りがちです。
でも、親の緊張や不安は、子どもにも伝わります。
- 笑顔で「おいしいね」と言葉にする
- 子どもが好きな話題をしながら食事を楽しむ
- 食べられなくても、「次は食べてみようね」と前向きな声かけ
「楽しい食事」は、子どもの食欲を引き出す大きな要素です。
食べることが「楽しい」と感じられれば、少しずつ偏食も改善していきます。
まとめ:焦らず「少しずつ」広げていく
偏食は「食べたくない」ではなく、「食べられない」ことも多いのです。
大切なのは、無理せず、子どものペースに合わせて「食べられるもの」を増やしていくこと。
- 無理に食べさせず、まずは見る・触れるから
- 食べられるものを少しずつ広げる
- 楽しい雰囲気で食事を楽しむ
「食べられるものが増えたね!」
そんな日を目指して、焦らずゆっくり進んでいきましょう。