「ダメ!」ばかり言っていませんか?禁止ではなく行動を導く声かけ術

「やめなさい」「走らない」「触らない!」——その声、子どもに届いていますか?
「ダメって言ってるのに、やめない」
「注意しても、また同じことをする」
「つい怒鳴ってしまって、自己嫌悪…」
子育ての毎日で、つい繰り返してしまう「ダメ!」「やめなさい!」という言葉。
でも、その“禁止の言葉”は、本当に子どもに届いているのでしょうか?
実は、「ダメ」と言うだけでは、子どもは“どうしたらいいか”がわからないのです。
「禁止の言葉」が子どもに伝わらない3つの理由
1. 「ダメ」と言われても、行動の意味がわからない
たとえば子どもがソファの上をジャンプしていたとき、
「ダメ!」と一喝しただけでは、子どもは何がいけないのか理解できません。
- 「ジャンプすること」が悪いの?
- 「場所」がいけなかったの?
- 「音がうるさい」のが問題?
子どもにとって「ダメ!」は情報が足りない言葉なのです。
2. 言われすぎて“慣れてしまう”
「ダメ」「やめなさい」を繰り返し聞かされていると、子どもは次第に聞き流すようになります。
まるでBGMのように右から左へ…。
これは「反抗している」わけではなく、脳が刺激に慣れて反応しなくなっている状態です。
つまり、「届かない言葉」になってしまっているのです。
3. 「否定される」と感じてしまう
禁止の言葉ばかりをかけられていると、子どもは
- 「自分はダメな子なんだ」
- 「僕のすることは全部間違ってる」
と感じてしまうことがあります。
その結果、自己肯定感が下がる→反発心が強くなる→ますます言うことを聞かないという悪循環に…。
「ダメ!」を減らして、行動を導くための声かけ術
禁止ではなく、子どもに届く伝え方に変えてみましょう。
ここでは、明日からすぐに使える「ポジティブな声かけ」のコツをご紹介します。
1. 「してほしい行動」を明確に伝える
「走らない!」ではなく、
✅「歩こうね」
「触らないで!」ではなく、
✅「見ているだけにしようね」
「うるさい!」ではなく、
✅「静かに話そうね」
✴︎ポイントは、“してほしくないこと”を否定するのではなく、“してほしいこと”を肯定的に伝えること。
このように伝えることで、子どもは次にどう動けばいいかがわかります。
2. 短く・具体的に・穏やかに
幼児には、長くて抽象的な説明は通じにくいもの。
- 「ちゃんとして」「いい加減にしなさい」は、何をすればいいかが不明確。
- 「立っていると危ないよ、座ろうね」のように、短くて具体的な言葉にしましょう。
さらに、穏やかな声のトーンで伝えると、子どもは落ち着いて受け取りやすくなります。
3. 行動を「代替案」で切り替える
注意しただけではやめられない行動も、代わりの選択肢を示すとスムーズに切り替えられます。
✅ 具体例:
- 「ソファでジャンプしないで!」 →「ジャンプはマットの上でしよう」
- 「うるさいよ!」 →「このおもちゃで静かに遊ぼうか」
- 「触っちゃダメ!」 →「おててはおひざにしようね」
「こうしてほしい」を提示することで、子どもも“叱られた”と感じにくく、前向きに切り替えができます。
4. 注意の前に「予告」を入れる
突然「やめなさい!」と止められると、子どもはびっくりして反発します。
行動の前に「見通し」を伝えておくことで、スムーズな切り替えができます。
✅ 予告の工夫例:
- 「あと2回ジャンプしたらおしまいね」
- 「この電車がトンネルを通ったら片づけよう」
- 「おやつを食べたら歯を磨こうね」
“区切り”を作ることで、子どもは気持ちの準備がしやすくなります。
5. 行動が変わったら「すぐに認めてほめる」
禁止から行動を切り替えたあとは、「できた!」を必ず言葉で伝えてあげましょう。
✅ ほめ言葉の例:
- 「ちゃんとお片づけできたね、ありがとう」
- 「今、自分から座れたね、すごいよ」
- 「ママのお話、ちゃんと聞いてくれてうれしいな」
子どもは「叱られたくない」より、「ほめられたい」の気持ちで行動を学んでいきます。
でも、「本当に危険なとき」はどうする?
もちろん、道路に飛び出しそうになったり、高いところに登っていたり、
「命に関わる場面」では瞬時に止める必要があります。
その際は、
- 大きな声で「ストップ!」「ダメ!」と止める
- 落ち着いたら、「なぜダメだったのか」を丁寧に説明する
- 最後は「教えてくれてありがとう」「わかってくれてうれしい」と伝える
禁止の言葉は「命を守るためのツール」として、大事な場面で“効果的に”使うことが大切です。
保護者も「自分に優しく」なっていい
「また“ダメ”って言っちゃった…」
「感情的に怒鳴ってしまった…」
そんな日も、あります。
それでも大丈夫です。
大切なのは、“自分を責めすぎないこと”と、“明日またやり直す”こと。
- 昨日より少し優しく言えた
- 一つだけでもポジティブな声かけができた
- 怒らずに見守れた1場面があった
そんな「できた」を、保護者自身も認めてあげてください。
まとめ:「ダメ!」をやめるのではなく、伝え方を変えるだけ
「ダメ!」「やめなさい!」という言葉は、決して悪ではありません。
ただ、それだけでは子どもには伝わりにくく、「どうすればいいのか」がわからないのです。
だからこそ、
- ポジティブな言葉に置き換える
- 具体的に、穏やかに伝える
- 代替案を示す
- できたらしっかり認めてほめる
こうした関わりが、「叱らなくても伝わる関係」へと変えていきます。
あなたのひと言が、子どもの未来のコミュニケーションの土台になります。
今日から少しずつ、“伝わる言葉”に置き換えていきましょう。