すぐ泣く・怒る・かんしゃく…感情表現が強い子への対応法

「またかんしゃく…」「どうして泣き止まないの?」——と悩む保護者へ
- 気に入らないことがあると大泣きする
- ちょっとしたことで怒り出す
- すぐに「イヤだ!」と物を投げたりする
子育ての中で「こんなに泣く?」「どうしてここまで怒るの?」と戸惑うこと、ありますよね。
周りと比べて「うちの子、大丈夫かな…」と不安になることもあるでしょう。
でも、すぐ泣く・怒る・かんしゃくを起こすのは、子どもの発達段階でとても自然なことなのです。
今日はその理由と、親ができる対応法を紹介します。
幼児期は感情表現が激しくて当たり前
3〜5歳頃の子どもは、まだ自分の感情を上手にコントロールする力が発達途中。
特に、以下のような特性が影響しています。
1. 言葉で気持ちを伝えるのが難しい
「イヤ!」「やめて!」など簡単な言葉は言えても、何が嫌なのか、どうして嫌なのかをうまく説明できません。
2. 自分の気持ちを抑える力(自己制御)が未熟
「我慢しよう」「あとでやろう」という気持ちの切り替えがまだ難しいのです。
3. 感覚が敏感な子も多い
音、光、触覚などの刺激に敏感な子は、ちょっとしたことでも「嫌だ!」「怖い!」と感じてしまうことがあります。
かんしゃくや大泣きの裏にある「助けて」のサイン
子どもが泣きわめいたり怒ったりすると、「どうしてそんなことするの!」「わがまま!」と感じてしまいますよね。
でも、その裏には
- 「思い通りにならなくて悔しい」
- 「不安でどうしたらいいかわからない」
- 「うまく言えなくて苦しい」
というサインが隠れていることが多いのです。
感情の爆発は、子どもにとって「助けて!」のSOSでもあります。
このサインに気づき、安心できる対応をしてあげることが大切です。
すぐ泣く・怒る子どもへの5つの対応法
1. まずは気持ちを代弁する
大人がいきなり「泣かないの!」「怒らないの!」と言っても、子どもは余計に混乱します。
まずは気持ちを代弁してあげましょう。
✅ 例:
- 「悔しかったんだね」
- 「もっとやりたかったんだね」
- 「思い通りにいかなくて悲しかったね」
大人が「わかってくれた」と感じられるだけで、子どもの気持ちは落ち着きやすくなります。
2. クールダウンの時間と場所を作る
感情が爆発しているときは、話をしても耳に入りません。
「落ち着いてから話そうね」と伝え、クールダウンの時間を作りましょう。
✅ 例:
- お気に入りのぬいぐるみを抱いて一息つける場所を用意する
- 「ここ(クッションの上)でちょっと休もうね」
- 「タイマーを3分セットして、終わったらお話しようね」
3. 落ち着いた後で「どうしたらよかったかな?」と振り返る
感情が落ち着いたタイミングで、「どうして怒っちゃったのかな?」「次はどうしようか」と一緒に振り返りましょう。
✅ 例:
- 「次は“かして”って言えたらよかったね」
- 「悔しかったとき、どうしたらよかったかな?」
- 「泣きたくなったときは、ママに教えてくれたら一緒に考えるよ」
子どもは「次はこうしよう」と少しずつ学んでいきます。
4. 泣かずに気持ちを伝えられたらしっかり褒める
子どもが自分の気持ちを言葉で伝えられたときは、「すごいね!」「言えたね!」としっかり褒めてあげてください。
この経験が「泣かなくても伝えられるんだ」と自信になります。
✅ 例:
- 「“かして”って言えたね、かっこいいよ!」
- 「泣かずに話してくれてありがとうね」
5. 「泣き虫」「怒りんぼう」などのレッテルは貼らない
「また泣いてる」「怒りんぼうだからね」と決めつけてしまうと、子どもは「自分はそういう子なんだ」と思い込んでしまいます。
子どもは「気持ちを表す練習中なんだ」と捉え、温かく見守ってあげてください。
それでも感情が爆発しやすい場合は?
- 毎日のようにかんしゃくが起こる
- 叩く・噛む・自傷行為がある
- 園や集団生活でトラブルが多い
こうした場合は、発達特性(ASD、ADHD、感覚過敏など)が背景にあることもあります。
「親のしつけの問題」と責めず、療育センターや小児科、発達相談窓口で相談してみてください。
専門家と一緒に「その子に合った関わり方」を考えていくことが大切です。
まとめ:感情をコントロールする力はこれから育つ
すぐ泣いたり怒ったりする子どもは、感情を整理する力がまだ育っている途中です。
大人のサポートで、その力は少しずつ育ちます。
- 気持ちを代弁する
- クールダウンの時間を作る
- 振り返って「次はどうしようか」と考える
- 泣かずに伝えられたらしっかり褒める
- レッテルを貼らずに見守る
大切なのは、「泣かない子にする」「怒らない子にする」ことではなく、
「気持ちをどう伝えるか」を一緒に練習することです。
「今日は泣かずに言えたね」「昨日より少しだけ落ち着けたね」
そんな小さな一歩を、一緒に喜び合える日が増えますように。