「発達の特性がある子」がいるときの兄弟姉妹関係――寄り添いと支えのつむぎ方

こんにちは。今回は「発達に特性のあるお子さんと、そのきょうだいの関係」について考えていきたいと思います。
発達障害や学習障害など、特性があるお子さんを育てる中で、どうしてもきょうだいへの愛情や関心が分散してしまったり、役割や負担を感じさせてしまったり……。そんな悩みを抱える保護者の方も少なくありません。
けれど「きょうだい関係」は、お子さんたちの“心の安心”や“成長の力”に直結している大切なもの。今回は、そんなきょうだいの関係が、家族にとってプラスにつながるような整え方のヒントを、7つの視点でお届けします。
① きょうだいも「感情を持つ子ども」として見つめる
発達特性のある子に注がれるケアの裏で、きょうだいは「わかっているからいいよね」と思われがちですが、実は「自分も特別なんだ」と認識したがっています。
保護者が「きょうだいの気持ち」にも共感し、「今日どうだった?」と声をかけることが、安心感につながります。
② 役割のバランスを見直す
家庭の中で自分が担っている役割(見守り係・遊び相手・通訳役など)が負担になっている場合、子どもは
「親には頼れない」「どうせ私は…」
と感じることがあります。
その場合は保護者や支援者と相談し、一時的な役割見直しや、代替のサポートを準備してあげるなど、きょうだいにも“居場所”と“大切にされている実感”をつくってあげましょう。
③ きょうだいの“成功体験”を積み重ねられる場をつくる
発達に特性がある子どもは、得意なことが異なりますが、きょうだいにもそれぞれの得意が必ずあります。
「私はできない子」と思ってしまわないよう、スポーツ・音楽・遊びなど、きょうだい自身が輝ける時間や場を意識的につくっていくことが大切です。
④ 「比べられない家族文化」を育てる
ついつい比較してしまいがちな家庭の中でも、
「それぞれ得意・苦手がある」は当たり前
という視点を共有し、比較をする代わりに
「どんな風に〇〇が得意なのかな?」
というように視点を変えることで、きょうだいにも安心感が生まれます。
⑤ しんどいときは外部の支援を活用しよう
専門家によるファミリー支援、心理士との相談、親子教室などを活用し、「家庭の中だけで大丈夫」を少しだけ手放してみるのも一つの選択肢です。親の心理的負担が軽くなると、きょうだいへの目配りも自然にできるようになります。
⑥ きょうだい間の「教え合い・助け合い」を支える
発達特性のある子どもにとって、きょうだいは「最初の先生」でもあります。
「こうしたらわかるよ」など、教え合いの関係が育つことで、きょうだいの役割にも意味と満足感が生まれます。
ただしストレスばかりが多い場合には、“教える時間”の量や頻度を調整し、保護者側が「助けてもらったあとは私たちがフォローするよ」という姿勢を見せることも大切です。
⑦ 家族の“非日常”を大切にする
一緒の笑顔の時間を増やすことで、「家族って大切だな」と思える記憶ができることが、きょうだいの安心感につながります。
映画館・公園・季節のイベント・親子体操など、短時間でも“みんなで笑顔になれる体験”を定期的に取り入れることで、日常の“相互理解”の貯金になります。
最後に:「みんなが大切」な家族へ
発達特性のある子どもも、きょうだいも、それぞれが素敵な存在です。
相互理解と支え合いの土台がある家庭からは、やがて“発達の悩みを乗り越えた家族の物語”が生まれます。
保護者として大切なのは、
- どんな気持ちでも大丈夫とまず受け止め
- 家族の中で「私も大切にされている」と思える経験を積む場をつくり
- 周囲とのつながりや専門的支援も取り入れながら支えていくこと
この繰り返しが、きょうだい関係をより強く優しいものにしてくれます。