「おもちゃをすぐ壊す…」——“破壊的遊び”の背景と、その声に寄り添う関わり方

こんにちは。
今回は、「うちの子、おもちゃをすぐ壊しちゃうんです…」と悩む保護者の方に向けて、子どもの「破壊的遊び」に潜む発達的な意味と、親ができる支援の方法をわかりやすくお伝えします。
第1章 “壊す行為”は誰でも経験する、学びの形
幼い子どもが「おもちゃをバラバラに分解する」「壊してしまう」行為に、驚く保護者は多いかもしれません。でも実は、こうした遊びには“学び”の要素が詰まっています。
- 物の構造を知りたい
- 力や衝撃の意味を理解したい
- 自分の思い通りに変えられる達成感を得たい
つまり、「変える」遊びとして、子どもは世界を探索しているのです。ただ、方法や強度が過剰な場合、周囲や物への危険が出やすく、親が困ることにつながります。
第2章 何が原因?「すぐ壊す」に関わる4つの背景
1. 感覚の探求欲が強い
「音」「破片の感触」「力の加減」といった感覚刺激は、子どもにとって五感を育てる絶好の素材。おもちゃを壊すことで、脳が「こうなったらこう感じる」を学んでいるのです。
2. 注意の切り替えが苦手(ADHD傾向)
興味のスイッチが一度入ると、その行動を止められない子もいます。壊すことに夢中になりすぎると、戻るタイミングがわからないことも。
3. 自分で創り変える/壊す快感
創造欲と破壊欲は表裏一体。壊すことで「自分が世界を変えられる」という自己効力感が得られ、それが行動を強めることがあります。
4. 感情・ストレス表現
遊びの中で不可抗力や摩擦があると、「イライラ」「混乱」を伴うことも。壊す行為に“感情の吐き出し”としての役割があるケースも見られます。
第3章 親としてできる対応のコツ4選
① 壊す対象と方法をコントロールする
壊しても安全な「クラッシャーおもちゃ」などを用意し、危なくない壊し遊びを許容することで、衝動を適切に受け止められます。
② 壊す行為の“予告”に共感を示す
「今日はガシャガシャやるんだね」と声かけし、行動の意味を受け止めた上で、「この箱でやっていいよ」とルール設定をしてあげましょう。
③ 代替活動として“作る遊び”もセットに
ブロック組み立てや粘土づくりなど、構築的な力と創造欲を育てる遊びをセットにすることで、壊す行為をバランスよく体験できます。
④ 感情の言語化をサポートする
「なんかイライラしたの?」など声をかけ、感情の名前を知るサポートを。怒りやもどかしさがあるのだと伝わると、子どもの自己理解につながります。
第4章 家庭で取り入れやすい“破壊的遊び”のアイディア
タイプ | 内容 | 概要 |
---|---|---|
安全壊し | 段ボール・割れる素材 | クラッシャー用の箱や安全素材を使う |
ぎゅっ!する遊び | 古い歯ブラシ・タオル | 圧力や摩擦を感じる感覚として |
大きなパーツ分解 | 大型ブロック類 | 少ない力で壊せる構造なら安心 |
水で壊す | 濡らすと壊れる素材 | 濡れた感触+壊す楽しさの体験 |
第5章 “壊す行為”を教育的な学びに変えるステップ
- 共感と受容からスタート
→「壊したいんだよね?」と気持ちに寄り添う - 行動のルールをつくる
→「この箱でやっていいよ」と場所を明文化 - 感情と言葉づけを支える
→「何がイヤだった?」と問いかけ感情認識を促す - 代替の遊びを提示
→「じゃあ次は一緒にこれを作ってみようか」と誘導 - ほめて繰り返す
→「片付けてくれてありがとう!すごいね」と認める
最後に:壊す力も“発達の途中”として見守ろう
「おもちゃをすぐ壊す」だけで評価を下すのではなく、
その行動に込められた意思や感情、学びへの欲求に気づいてあげると、保護者も子どもも少し楽になります。
“安全な壊し場”をつくり、感情を言語化する支えをしつつ、次はどうしたらいいかを一緒に考える大人として関わることが、子どもの心の発達を支えていきます。
おもちゃが壊れた場所は、子どもの大きな成長の種にも変わるのです。