子どもが「学校に行きたくない」と言った時、親は何を聞くべき?

不登校のサイン、親の対応方法、そして子どもの本当の気持ちに寄り添うこと
「学校に行きたくない」——。子どもがこの言葉を口にした時、親の心は大きく揺れ動きます。多くの親は「これは不登校の始まりではないか」という恐怖を感じたり「甘えているのではないか」という疑念を持ったり、あるいは「自分の育て方に問題があったのか」という自責感に陥ったりします。
しかし、実は「学校に行きたくない」という子どもの言葉は「親が聞くべき大切なサイン」であり「子どもの心の中で、何かが起こっている」ことを示しているのです。重要なのは「その言葉に対して、親がどう対応するか」ということです。親が「本当の理由」を丁寧に聞き出し「子どもに寄り添う」ことで、多くの場合「問題は解決へ向かう」のです。
「学校に行きたくない」に隠された、様々な理由
「友達との関係」が上手くいっていない
子どもが「学校に行きたくない」と言う理由の一つが「友達との関係」です。友達とのトラブル、いじめ、孤立感——。これらが原因で「学校に行きたくない」という気持ちが生まれることがあります。
特に、子どもは「友達関係の悩み」を親に打ち明けるのが「恥ずかしい」「親に心配をかけたくない」という思いから「ただ『行きたくない』とだけ言う」ことがあるのです。
「学習面での困難」が、子どもにストレスを与えている
授業についていけない、テストの成績が悪い、読み書きが苦手——。学習面での困難が「学校に対する不安」を生み出し「行きたくない」という気持ちにつながることもあります。
子どもは「勉強ができない」という悔しさや恥ずかしさを「学校に行きたくない」という言葉で表現している可能性があるのです。
「担任の先生」との関係性に問題がある
担任の先生との関係が良くない、先生に怖いと感じている、親の見方では「理不尽な叱られ方」をしている——。こうした「先生との関係」が「学校に行きたくない」という気持ちを生み出すこともあります。
子どもにとって「先生」は「権力者」であり「毎日、その人と過ごす学校」に対する不安が大きくなることがあるのです。
「環境の変化」がストレスになっている
新学年への不安、転校、クラス替え——。こうした「環境の変化」によって「学校に行くことへの不安」が生まれることがあります。
これは「甘え」ではなく「新しい環境への適応過程での、自然な不安」なのです。
「単なる気分」「一時的な疲労」の可能性もある
すべての「学校に行きたくない」が「深刻な問題」とは限りません。時には「今日は、ちょっと気分が乗らない」「疲れているから、休みたい」という「一時的な気分」であることもあります。
親は「全てを深刻に捉える」のではなく「何度も繰り返されるのか」「一時的なのか」という「パターン」を観察することが大切です。
親が「学校に行きたくない」という言葉を聞いた時にすべきこと
まず「親の反応」を一度、留める
子どもが「学校に行きたくない」と言った時「親が取るべき最初のステップ」は「自分の反応を一度、止める」ことです。
親の多くは「学校に行きなさい」「そんなことを言ってはいけません」というように「すぐに対応」してしまいます。しかし、その前に「なぜ、その子はそう言うのか」を「冷静に考える時間」が必要なのです。
実践のポイント
- 親自身の「恐怖」「焦り」に気づく
- その感情を「一度、脇に置く」
- 「子どもの本当の気持ちを聞く」ことを優先させる
親が「深呼吸をして、冷静さを取り戻す」だけで「対応の質」が大きく変わるのです。
「なぜ?」という質問をしながら、丁寧に聞く
親が「冷静さを取り戻した」後「なぜ、学校に行きたくないのか」を「子どもが話しやすい雰囲気」で聞くことが大切です。
実践のポイント
- 「何があったの?」と「親の心配」ではなく「子どもの気持ち」を聞く
- 子どもが話し終わるまで「親が話を遮らない」
- 複数の質問はせず「一つの質問」に対して「子どもが答えるのを待つ」
- 子どもが「言いにくいこと」を言った時「責めない」という態度を見せる
親が「落ち着いて聞く」という姿勢を示すことで「子どもは『親に打ち明けられる』という安心感」を獲得するのです。
「学校に行かせる」ことよりも「理由を理解する」ことを優先させる
多くの親は「とにかく学校に行かせることが大事」と考えます。しかし、その前に「なぜ、行きたくないのか」という「理由の理解」が最優先なのです。
実践のポイント
- 「理由が分かるまで」は「登校させることを急がない」
- 「無理に行かせる」ことで「学校への恐怖」が増すこともある
- 「まずは、理由を理解する」という親の姿勢が大切
親が「理由を理解しようとする」という姿勢を見せることで「子どもは『親は自分の気持ちを理解しようとしてくれている』と感じる」のです。
子どもの「感情」を受け止め、認める
子どもが理由を話した時「親がすべきこと」は「その気持ちを受け止める」ことです。
例えば、子どもが「友達に仲間外れにされた」と言った時「親が『そんなことはない』と否定する」のではなく「そっか。悔しいんだね。つらいんだね」と「子どもの気持ちを認める」ことが大切なのです。
実践のポイント
- 「その気持ちは、自然だ」というメッセージを伝える
- 「悪いのは、あなたではなく、その友達だ」というような「犯人探し」をしない
- 「その気持ちを感じるのは、仕方がない」と認める
親が「子どもの気持ちを認める」ことで「子どもは『親に理解されている』という感覚」を獲得するのです。
「学校に行く」「休む」の選択を、一緒に考える
理由が分かった後「学校に行くか、休むか」を「親が一方的に決めるのではなく」「子どもと一緒に考える」ということが大切です。
実践のポイント
- 「今日は、どうしたい?」と子どもに選択肢を与える
- 「学校に行く場合と、休む場合」それぞれの「利点と課題」を一緒に考える
- 最終的には「子どもの気持ち」を尊重する
親が「子どもと一緒に決める」という経験を通じて「子どもは『自分の気持ちは大事にされている』と感じる」のです。
「学校の先生」や「支援者」に相談する
子どもの「学校に行きたくない」が「繰り返される」場合や「その理由が深刻」な場合「親だけで抱え込まない」ことが大切です。
実践のポイント
- 担任の先生に「子どもが学校に行きたくないと言っている」と相談する
- スクールカウンセラーなどの「専門家に相談する」
- 「学校側と家庭が、一緒に対応する」という連携を作る
親が「プロの助言」を求めることで「より良い対応」が可能になるのです。
実際の場面での対応例
【場面1】子どもが朝「学校に行きたくない」と言う場合
❌親の悪い対応: 「何を言ってるの!学校に行きなさい」と、すぐに命令する
✅親の良い対応: 「そっか。行きたくないんだ。何があったの?」と、落ち着いて理由を聞く。その後「今日は、どうしたい?」と、子どもの気持ちを尊重しながら、一緒に考える
親のポイント
- 親の「反応」を一度、止める
- 理由を聞く前に「命じない」
- 子どもの気持ちを最優先させる
【場面2】子どもが「友達に仲間外れにされた」と言う場合
❌親の悪い対応: 「そんなことはない。気のせいでしょ」と、子どもの気持ちを否定する
✅親の良い対応: 「そっか。悔しいんだね。つらいんだね。その気持ちはよく分かるよ」と、子どもの気持ちを認め、その後「では、どうしたらいいと思う?」と一緒に考える
親のポイント
- 子どもの気持ちを受け止める
- 「犯人探し」や「原因追求」をしない
- 「気持ちを認める」ことが最優先
【場面3】「学校に行きたくない」が何度も繰り返される場合
❌親の悪い対応: 「何度も言わないで。大丈夫でしょ」と、親が疲れてしまう
✅親の良い対応: 「何度も言うんだ。そしたら、担任の先生に相談してみようか」と、学校側との連携を取ることを考える
親のポイント
- 繰り返しのパターンに気づく
- 「親だけで解決しようとしない」
- 専門家や学校との連携を考える
【場面4】子どもが「学校に行く」「休む」で迷っている場合
❌親の悪い対応: 「親が決めるから」と、親の判断で決める
✅親の良い対応: 「行く場合と、休む場合のどちらでも、ママはあなたを支援するよ。では、〇〇ちゃんは、どうしたい?」と、子どもの選択を尊重する
親のポイント
- 子どもに「選択の自由」を与える
- どちらを選んでも「親は支援する」というメッセージを示す
- 最終的には「子どもの気持ち」を優先させる
「学校に行きたくない」は「親への信号」である
ここで大切な理解があります。
子どもが「学校に行きたくない」と親に言うことは「親に助けを求めている」というサインです。
子どもが「親に打ち明けられる」という信頼関係がなければこの言葉は出てきません。つまり子どもが『学校に行きたくない』と言ったことは、子どもが親を信頼している証であり親が対応する『チャンス』なのです。
親がここで、子どもの気持ちに寄り添う対応をすることで親子の信頼はさらに深まり、子どもも『親に頼れる』という安心感を獲得します。
療育現場での実例
ある子どもが「学校に行きたくない」と親に言いました。親は最初「これは不登校の始まりではないか」と焦りました。
しかし、親が「冷静になって、理由を聞く」という対応に変えると子どもは『友達との関係が上手くいっていない』ことを打ち明けました。
親がその気持ちを認め、学校の先生にも相談するという対応を取ると学校側でも対応してくれるようになり、数週間後、子どもは自然と『学校に行こう』と言うようになったのです。
重要だったのは「親が『子どもの気持ちに寄り添う』」という対応だったのだと思います。
「学校に行きたくない」は「親と子の関係を深めるチャンス」
子どもが「学校に行きたくない」と言った時親がすべきことは、その言葉を『問題』と捉えるのではなく『親に助けを求めているサイン』と捉えることです。
親がそこで「子どもの気持ちに丁寧に寄り添う」という選択をすることで、親子の関係はより一層深まり、子どもは『親がいるから大丈夫』という安心感を獲得するのです。
その安心感が「子どもが『学校という困難な環境』に向き合う勇気」を生み出していくのだと思います。
今日も、どこかで子どもが「学校に行きたくない」と親に言っているでしょう。その時、親がその言葉を受け止め、理由を聞くという対応をすることで親子の絆は、さらに強くなっていきます。