健診でこだわりの強さを指摘された時、保護者が知っておくべきこと

3歳健診で、保健師から質問されました。こだわりは強いですか?予定が変わると怒りますか?はい、とても強いです、と答えると、保健師は少し心配そうな顔をしました。こだわりが強いと、生活が大変ですよね、と言われました。
確かに、毎日大変です。朝起きてから寝るまで、すべてが同じ順序でないと怒ります。パジャマを脱いで、パンツを履いて、ズボンを履いて、シャツを着る。この順序が少しでも違うと、パニックになります。最初からやり直しです。
道も同じでないといけません。いつもの道を通らないと、大泣きします。公園に行くのも、同じ順路、同じ遊具の順番。少しでも違うと、癇癪を起こします。
食事も、同じ食器、同じ場所、同じメニュー。新しいものは一切食べません。服も、お気に入りの服しか着ません。洗濯中だと、泣いて怒ります。疲れ果てています。
こだわりが強すぎる。これは、自閉症の可能性があると聞きました。このまま小学校に上がって、大丈夫なのでしょうか。不安で仕方ありません。
こだわりの強さ。これは、自閉スペクトラム症の特性の一つです。しかし、適切な関わり方と環境調整で、こだわりとうまく付き合うことができます。そして、成長とともに、柔軟性も育ちます。
3歳で見られるこだわり
発達の過程としてのこだわり
3歳頃は、ある程度のこだわりが見られる時期です。
同じ絵本を何度も読んでほしがる、同じ遊びを繰り返す、お気に入りのおもちゃを手放さない。これらは、発達の過程で見られる正常な範囲のこだわりです。
自閉症のこだわりとの違い
自閉症のこだわりは、程度が著しく強く、日常生活に支障をきたします。
少しでも予定が変わるとパニックになる、同じ順序でないと気が済まない、新しいことを極端に嫌がる。柔軟性が非常に乏しく、保護者も本人も疲れ果てるほどです。
同一性保持
同じであることを強く求めます。
同じ道、同じ順序、同じ場所、同じ物、同じ人。同じであることに安心を感じ、変化を極端に嫌がります。これを同一性保持といいます。
限定的な興味
特定のものに、非常に強い興味を示します。
電車、数字、文字、標識、マーク。特定のものに夢中になり、他のことには興味を示しません。延々と同じことを話し続けることもあります。
儀式的な行動
特定の手順や儀式を繰り返します。
物を一列に並べる、特定の順序で触る、何度も確認する。このような儀式的な行動がないと、落ち着かなくなります。
こだわりとは
変化への抵抗
こだわりの本質は、変化への抵抗です。
慣れたこと、予測できることに安心を感じます。新しいこと、予測できないことに、強い不安を感じます。だから、同じであることを求めるのです。
不安を減らすための行動
こだわりは、不安を減らすための行動でもあります。
予測できない世界は、不安でいっぱいです。同じ順序、同じ道、同じ物。それらが、不安を減らし、安心をもたらします。こだわりは、自分を守る方法なのです。
感覚を求める行動
感覚を求めて、こだわることもあります。
物を一列に並べる視覚的な満足感、同じ動きを繰り返す身体的な満足感。感覚刺激を求めて、同じ行動を繰り返します。
脳の特性
こだわりの強さは、脳の特性です。
柔軟性を司る脳の部分の働きが、定型発達の子とは異なります。本人が悪いわけでも、しつけの問題でもありません。脳の特性として、こだわりが強いのです。
こだわりが強い理由
自閉スペクトラム症の特性
こだわりの強さは、自閉症の主要な特性の一つです。
同一性保持、限定的な興味、儀式的な行動。これらは、自閉症の診断基準にも含まれています。こだわりが非常に強い場合、自閉症の可能性が考えられます。
不安が強い
不安が強いお子さまは、こだわりが強くなります。
予測できないことへの不安、新しいことへの不安。それらを減らすために、同じであることを求めます。不安を軽減することで、こだわりも軽減することがあります。
言葉の遅れ
言葉で理解することが難しいと、こだわりが強くなることがあります。
次に何が起こるか、言葉で説明されても理解できない。だから、いつも同じであることに頼ります。視覚的な支援で見通しを持てるようになると、こだわりが減ることもあります。
感覚の特性
感覚過敏や感覚鈍麻があると、こだわりが強くなることがあります。
特定の感覚を避ける、または求める。そのために、特定の服、特定の食べ物、特定の順序にこだわります。
成功体験の不足
新しいことに挑戦して失敗した経験が多いと、新しいことを避けるようになります。
失敗が怖い、うまくいかないのが嫌。だから、慣れたこと、できることだけを繰り返します。成功体験を積むことで、柔軟性が育つこともあります。
家庭でできるこだわりへの対応
こだわりを全否定しない
こだわりを全て排除しようとする必要はありません。
こだわりは、お子さまにとって必要なものです。安心をもたらし、不安を減らすものです。すべてを否定すると、お子さまは混乱します。
譲れないこだわりと譲れるこだわりを見極める
すべてのこだわりに付き合う必要はありません。
安全に関わること、他人に迷惑をかけることは、譲れません。でも、それ以外のこだわりには、ある程度付き合うことも大切です。どこまで付き合い、どこで線を引くか、見極めが必要です。
予告する
予定が変わる時は、事前に予告します。
今日はいつもの道が工事中だから、違う道を通るよ、と事前に伝えます。視覚的に示すと、さらに分かりやすくなります。予告なく変わると、パニックになります。
視覚的に示す
次に何が起こるか、視覚的に示します。
写真や絵カードで、予定を示す。タイマーで、時間を見えるようにする。視覚的に理解できると、見通しが持て、不安が減ります。
選択肢を与える
AかBか、選択肢を与えます。
今日はりんごとバナナ、どっちがいい?公園と図書館、どっちに行く?選択肢があることで、変化を受け入れやすくなります。
小さな変化から
いきなり大きな変化ではなく、小さな変化から始めます。
いつもの道を少しだけ変える、いつものメニューに一品だけ新しいものを加える。小さな変化に慣れることで、柔軟性が育ちます。
成功したら褒める
新しいことができたら、小さな変化を受け入れられたら、たくさん褒めます。
違う道を通れたね、すごい!新しい服を着られたね、かっこいい!褒められることで、変化も悪くないと感じるようになります。
無理強いしない
パニックになるほど無理強いする必要はありません。
今日は無理だな、と感じたら、無理強いしません。パニックになるまで追い詰めると、さらにこだわりが強くなることもあります。
専門家に相談するタイミング
3歳健診で指摘された時
3歳健診で、こだわりが強すぎると指摘された時が、相談のタイミングです。
様子を見ましょうと言われても、日常生活に支障が出ている場合は、専門機関に相談することをお勧めします。
日常生活に支障がある時
こだわりのために、外出できない、食事ができない、着替えができない。
日常生活に大きな支障がある場合は、早めの相談が必要です。
パニックが頻繁にある時
予定が変わるたびにパニックになる、癇癪が激しい、自傷行為がある。
パニックが頻繁で、本人も家族も疲れ果てている場合は、すぐに相談が必要です。
他の発達の特性も見られる時
こだわりが強いだけでなく、目が合いにくい、言葉が遅い、友達と遊べないなど、他のサインも見られる場合は、相談が必要です。
自閉症の可能性がある場合、早期から総合的な支援を受けることが大切です。
就園・就学で困難が予想される時
幼稚園や小学校で、こだわりのために集団生活が困難になりそうな場合は、早めの相談が有効です。
園や学校と連携しながら、支援を受けられます。
療育でのこだわりへの支援
構造化された環境
療育では、予測しやすい構造化された環境を提供します。
次に何をするか分かりやすい、物の配置が決まっている、スケジュールが視覚的に示されている。見通しが持てることで、不安が減り、こだわりも減ります。
視覚支援の活用
写真、絵カード、タイマーなど、視覚支援を活用します。
言葉だけで説明されても理解しにくいお子さまでも、視覚的に示されると理解できます。視覚支援で見通しを持てることが、こだわりを減らします。
スモールステップで柔軟性を育てる
いきなり大きな変化ではなく、スモールステップで柔軟性を育てます。
いつもの活動を少しだけ変える、新しい遊びを一つだけ加える。小さな変化に成功したら褒める。少しずつ、変化に慣れていきます。
ソーシャルストーリー
ソーシャルストーリーという手法を使います。
予定が変わる時、どうすればいいか、ストーリー形式で教えます。絵と文章で、具体的に示します。事前に学ぶことで、実際の場面でも対応できるようになります。
感覚統合の支援
感覚の特性が原因のこだわりには、感覚統合の支援が効果的です。
感覚過敏を軽減する、感覚を満たす適切な方法を提供する。感覚的な不安が減ることで、こだわりも減ります。
保護者への助言
療育では、保護者にも具体的な助言ができます。
家庭でのこだわりへの対応、予告の仕方、視覚支援の作り方。専門家からアドバイスを受けることで、家庭でも効果的に対応できます。
早期療育の実際の効果
事例1:3歳で療育開始、視覚支援で柔軟性が育った
3歳健診で、こだわりが非常に強く、予定が変わるとパニックになると指摘されました。毎日同じ順序でないと怒り、保護者は疲れ果てていました。
療育施設に相談し、発達検査の結果、自閉症の傾向があることが分かりました。週2回の療育を始めることになりました。
療育では、視覚支援を徹底的に活用しました。スケジュールを写真で示す、タイマーで終わりを見せる、予定変更は事前に絵カードで予告する。
視覚的に理解できるようになると、見通しが持て、不安が減りました。3ヶ月後、小さな予定変更なら、パニックにならずに受け入れられるようになりました。
半年後には、新しい活動にも挑戦できるようになりました。完全にこだわりがなくなったわけではありませんが、柔軟性は確実に育ちました。
保護者は、視覚支援の効果に驚いた、家でも実践することで生活が楽になったと語っていました。
事例2:3歳2ヶ月で療育開始、スモールステップで変化を受け入れられた
3歳2ヶ月の時点で、こだわりが強く、新しいことを一切受け入れませんでした。同じ服、同じ食べ物、同じ道。少しでも違うと、癇癪を起こしました。
療育施設に相談し、週1回の療育を始めました。療育では、スモールステップで柔軟性を育てました。
いつもの遊びに、新しいおもちゃを一つだけ加える。できたら褒める。いつもの道を、ほんの少しだけ変える。できたら褒める。小さな成功を積み重ねました。
3ヶ月後、小さな変化なら受け入れられるようになりました。半年後には、新しい食べ物を一口だけ食べられるようになりました。
1年後には、違う服も着られるようになり、違う道も通れるようになりました。保護者は、スモールステップで進めたことが良かった、焦らず見守れたと語っていました。
事例3:3歳で療育開始、自閉症の診断を受けたがこだわりは軽減
3歳健診で、こだわりが非常に強く、他にも目が合いにくい、言葉も遅いと指摘されました。
療育を始め、3歳半で医療機関を受診したところ、自閉スペクトラム症の診断を受けました。診断を受けた後も、療育は継続しました。
週3回の療育で、視覚支援、構造化された環境、スモールステップでの柔軟性の育成、すべてを組み合わせて支援を受けました。
1年後、こだわりは確実に軽減しました。完全になくなったわけではありませんが、日常生活はかなり楽になりました。予告があれば、予定変更も受け入れられるようになりました。
保護者は、診断を受けてもこだわりは軽減できる、療育の効果を実感していると語っていました。
こだわりとうまく付き合う
こだわりが強すぎて困る。毎日大変で、疲れ果てている。そのお気持ち、よく分かります。
でも、知っておいてください。こだわりは、お子さまにとって必要なものです。安心をもたらし、不安を減らすものです。すべてを排除しようとする必要はありません。
大切なのは、こだわりとうまく付き合うことです。譲れるこだわりには付き合う、譲れないこだわりには代替案を示す。視覚支援で見通しを持たせる、小さな変化から始める。
そして、成長とともに、こだわりは変化します。3歳で非常に強かったこだわりが、4歳、5歳、6歳と成長する中で、軽減することはよくあります。完全になくなるわけではないかもしれませんが、柔軟性は確実に育ちます。
適切な支援を受けることで、こだわりとうまく付き合えるようになります。日常生活が楽になります。お子さまも保護者も、笑顔が増えます。
3歳でこだわりの強さに気づけたことは、チャンスです。早く支援を始めることで、就学前に柔軟性を育てることができます。
療育センターエコルドで、こだわりへの対応を学ぶ支援を
大阪府池田市にある療育センターエコルドは、3歳のお子さまにも対応している療育施設です。
こだわりが強すぎて困るというお子さまに対して、視覚支援を活用した専門的な支援を提供しています。構造化された環境で、見通しを持って活動し、スモールステップで柔軟性を育てます。
公認心理師による専門的な支援、田中ビネー・ヴァインランドなどの発達検査で客観的に状態を把握、児童発達支援の5領域をバランスよく育てるプログラム、ソーシャルストーリーなどの手法、保護者への丁寧なフィードバックと家庭での対応方法の助言。こだわりとうまく付き合う方法を、総合的にサポートします。
こだわりが強すぎて困っている方、予定が変わるとパニックになる方は、ぜひ療育センターエコルドにご相談ください。
こだわりを全否定せず、うまく付き合う方法を。お子さまの柔軟性を、エコルドが全力でサポートします。
療育センターエコルド お問い合わせ
- 電話:072-735-7332
- Web予約:https://portal.d2i.jp/contact/
- 所在地:大阪府池田市石橋3-1-11 大空第二ビル1階
初回相談無料/発達検査実施/見学随時受付/3歳児対応/こだわりへの視覚支援/
お気軽にお問い合わせください。こだわりとうまく付き合う方法を、一緒に見つけましょう。