放課後等デイサービスにおける小学生向けソーシャルスキルトレーニングの重要性

放課後等デイサービスは、発達に課題を抱える子どもたちにとって、学習や社会的なスキルを身につけるための重要なサポート拠点です。特に小学校入学後、子どもたちが学校で直面する人間関係や規律への適応に対して、デイサービスでの『ソーシャルスキルトレーニング(SST)』は大きな支えとなります。
本記事では、具体的な困難や課題の内容に触れながら、大阪府池田市にある療育センターエコルドで実施されているトレーニング方法を紹介します。特に児童指導員が、子どもの成長に気付き支援に活かせる視点に注目しています。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは
ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、子どもが日常生活や学校生活で他者と円滑に関わるための社会的スキルを学ぶプログラムです。例えば、友だちとの関係構築、ルールや順番を守る、気持ちを伝える・理解するスキルなどが含まれます。こうしたスキルは、小学生期の発達や学校適応を支える基盤です。放課後等デイサービスでは、子どもの発達段階や個性に応じたトレーニングが行われており、放課後等デイサービスだからこそ提供できる独自の支援が可能です。
小学生が感じやすい困難とSSTの役割
小学生になると、学校という集団生活の場で社会性が強く求められるようになります。しかし、発達障害やコミュニケーションの課題を抱える子どもたちにとっては、学校生活での様々なシーンで困難を感じやすくなります。以下に、小学生が直面する代表的な困り感と、その困難に対応するSSTの役割を説明します。
1:友だちと上手に関わり合えない
他者との関わり方がわからず、会話のタイミングが合わなかったり、友だちとのトラブルが頻発することがあります。SSTでは、こうした困難を抱える子どもに対し、話すタイミングや言葉の選び方、表情の使い方など、会話の基本的な流れを身につけるサポートを行います。
2:授業中にじっと座っていられない
ADHDなどが原因で、集中力を保つことが難しい子どももいます。学校では特に「じっと座ること」「静かにすること」が重要視されますが、これが難しい場合、子どもは叱られたり孤立したりする原因になります。SSTでは、集中力を保つための具体的な対処法や、セルフコントロールの練習を行い、学校での落ち着いた行動を支えます。
3:ルールや順番を守ることが難しい
学校生活では、ルールや順番を守ることが基本です。しかし、ルールを理解できずに衝突やトラブルになるケースもあります。SSTでは、ルールを学ぶと同時に、「なぜそのルールがあるのか」を理解する支援を行い、子どもが進んでルールを守れるようにサポートします。
放課後等デイサービスで行われるSSTの具体例
療育センターエコルドをはじめとする放課後等デイサービスでは、子どもが楽しみながらスキルを学べるようにさまざまな工夫がなされています。ここでは、具体的なトレーニング内容を紹介します。
1:挨拶や自己紹介の練習
挨拶や自己紹介は、社会生活の基本です。元気よく挨拶をする練習や、自己紹介で自分をわかりやすく伝える方法を身につけることで、友だちとの関係が築きやすくなります。視覚的に学びやすいよう、カードやシナリオを用いてロールプレイを行うことも効果的です。
2: 感情の表現と理解
自分の感情を表現することや、相手の感情を理解することは、コミュニケーションにおいて非常に大切です。SSTでは、感情カードやシナリオを使い、さまざまな感情表現やその理解方法を学びます。また、「自分がどう感じているか」を言葉で表現する方法を習得することで、友だちや教師との円滑な関係を築くことが期待できます。
3:困ったときの対処法の練習
学校生活で困ったことが起きた際に、感情的にならず冷静に対応する方法を学びます。「どうしていいかわからない」「すぐにイライラしてしまう」などの行動に対して、SSTでは「一度深呼吸をする」「少しその場を離れて考える」などの対応策を実践的に学びます。
4:集団行動での協調性を育てる活動
協調性を育むため、グループで取り組むゲームや課題を活用します。グループで協力しながらゲームを進めることで、仲間と協力し、集団の中で自分の役割を理解するスキルを身につけられます。例えば、チームでの簡単なゲームやお手伝い活動は、協調性と自己表現力を伸ばすために効果的です。
児童指導員が気づけるサインと成長支援へのヒント
放課後等デイサービスでSSTを実施する際、児童指導員が子どもの成長を観察し、サインを見逃さずに支援することが重要です。ここでは、児童指導員が支援のヒントとなる視点を紹介します。
1:小さな成長を見逃さない
例えば、これまで挨拶をしなかった子どもが「おはよう」と挨拶を返してくれたとき、それは大きな成長の証です。このような「小さな変化」に気づき、すかさずほめることで、子どもは自信を持って成長していきます。
2:子どもの表情や行動に注目する
SSTで学んだことが、子どもの行動にどう影響しているかを観察することも大切です。例えば、感情表現が難しかった子どもが少しずつ表情豊かになり、友だちと笑い合う場面が増えているかもしれません。こうした表情や仕草の変化を見逃さないことで、SSTが子どもにとってどのように役立っているかを把握できます。
3:子どもが「できる」実感を持てる支援を心がける
目標が大きすぎると、子どもが達成感を感じにくくなります。例えば、「毎回大きな声で挨拶をしよう」ではなく、「今日は挨拶で笑顔を出してみよう」といった具体的で小さな目標を設定することで、子どもが「できた!」という実感を得やすくなります。児童指導員の先生が、適切な目標設定とフィードバックを行うことで、子どもは自分の成長を感じながら学びを進めることができます。
放課後等デイサービスでのソーシャルスキルトレーニングは、子どもたちが社会で自信を持って生きていくための大切なスキルを身につける場です。特に、子どもが少しでも成長を感じられるように、児童指導員の先生が日常の小さな変化に気づき、その努力を積み重ねることが重要です。
療育センターエコルドでは、児童指導員が子どもたちの行動変化を観察し、サポートすることで、子どもが成長を実感しやすい環境を提供しています。SSTの成果を確かめながら、日常生活に生かしていくことで、子どもたちは社会でより良い関係を築ける力を養っていけるでしょう。