聴覚過敏の原因と対応方法

こんにちは!発達支援の現場では「聴覚過敏」という言葉を耳にすることが増えてきました。
「特定の音に敏感で苦しそう…」「小さな音でも耳をふさぐことがある」など、お子さんの様子に心配を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、聴覚過敏の原因と、その対応方法についてわかりやすくお伝えします。
聴覚過敏ってどんな状態?
聴覚過敏とは、特定の音や日常的な環境音に対して、過剰に敏感に反応してしまう状態を指します。
①生活音がつらい
例えば、救急車のサイレンや学校のチャイム、他の子どもたちの声など、周囲では普通の音と感じるものが非常に不快だったりします。
②音に対するストレス反応
急に耳をふさぐ、泣き出す、パニック状態になるなど、音が大きなストレス要因になることがあります。
こうした状態は、周囲の理解がないと「わがまま」や「気難しい」と誤解されることも多いのですが、実際には脳の処理機能の問題であることが多いのです。
聴覚過敏の原因は?
聴覚過敏の原因はひとつではありません。いくつかの要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
①発達障害との関連
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)など、発達障害を持つお子さんに聴覚過敏が見られることが多いです。これらの子どもたちは、音を処理する脳の機能が敏感すぎたり、逆に適切に調整できなかったりすることがあります。
②感覚処理の特性
「感覚過敏」の一種として、聴覚過敏が現れることもあります。脳が音を処理する際に、普通の人ならスルーできる音までも詳細に捉え、過剰に反応してしまうのです。
③ストレスや疲労
精神的なストレスや疲れがたまると、聴覚過敏が悪化することがあります。一時的なストレスで音に敏感になることもあるため、普段の生活環境が影響する場合もあります。
④神経系の異常
耳そのものの問題ではなく、脳が音を「どう感じるか」に関わる神経系の異常が原因であることがほとんどです。そのため、外見からはわかりづらく、本人や保護者の悩みが見過ごされやすいのが現状です。
聴覚過敏の対応方法
聴覚過敏への対応方法は、環境の調整や心理的サポートが中心になります。
①環境調整を行う
*耳栓やノイズキャンセリングヘッドホンを活用する
音を軽減できるツールを使うことで、不快な音からお子さんを守ることができます。特に学校や外出時など、人が多い場所では有効です。
*静かな環境を整える
自宅では、音が反響しにくいカーテンやカーペットを活用し、静かな空間を作ることを心がけましょう。
②事前準備で安心感を持たせる
*状況を予測しやすくする
「これから花火が上がるよ」など、音が予測できるように伝えてあげるだけでも安心感につながります。突然の音に驚くことを減らせます。
*苦手な音を避けるスケジュールを立てる
無理に苦手な音を聞かせるのではなく、可能な範囲で音の少ないルートや時間を選ぶとよいでしょう。
③トレーニングや専門的支援
*感覚統合療法
専門機関では、音に慣れるためのトレーニングが行われることがあります。たとえば、少しずつ音に慣れさせる段階的な方法や、楽しい活動を通じて音に対する嫌悪感を軽減する方法です。
*カウンセリングや療育
聴覚過敏に関する心理的な負担を軽減するため、専門家によるカウンセリングや、社会的スキルの支援が役立つ場合もあります。
④周囲の理解がカギ
聴覚過敏を持つ子どもたちが安心して生活できるためには、家族や学校など周囲の理解が欠かせません。「どうしてこの音が嫌なのかな?」と一緒に考える姿勢を持ち、無理をさせずに本人のペースに合わせることが大切です。
おわりに
聴覚過敏は見た目ではわかりづらく、誤解されやすい特性です。しかし、適切な対応と環境の調整をすることで、お子さんが過ごしやすい環境を作ることができます。
困ったときは一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら、お子さんに合った支援を進めていきましょう!
大阪府池田市にある「療育センターエコルド」では、感覚過敏を含む乳幼児期の発達支援を行っています。作業療法士や保育士がチームで、お子さん一人ひとりに合った専門的なサポートを提供。送迎も可能ですので、池田市や箕面市、豊中市、吹田市周辺の保護者の方はお気軽にお問い合わせください!